#228:余情で候(あるいは、真冬の連立3元1次不等式)
<試合形式は前戦に引き続き、『
いよいよの戦い……それが始まる。「場」であるところは、先ほどの水窪殿らが戦っていた「9×9」の
「揺らぐな、ジローネットよ。『平常心』だ。平常なる心をもって、真なる深き自分を見据え、そしてそれを自分以外の『世界』へと解き放つ。先ほどの対局でそれはいやというほど分かったはず」
姫様はその華奢でいて豊潤なる
しかして「前局」……部外者たる私が述べるのもどうかとは思うが、凄まじいばかりの痴話喧嘩であったな、としかろくな感想を持ちえないのだが。まああそこまで自分をさらけ出せるのであれば、もはや「世界」と「自分」とを隔てる、厄介な「境界」などというものに縛られずに、己が己として生きていくことが出来るのやも知れん……
私にそこまでの覚悟があるのか、おそらく姫様はそう問うてらっしゃるのだろう……その答えは今はまだ「否」であるものの、自身の底まを踏み込んだ末に、何かがもたらされる、そう姫様はその慧眼をもってしておっしゃられているのかも知れない。
ならば、やる他は無い。と決意新たに私がその「対局場」へと踏み出した、その瞬間だった……
「フハぁーッ、ハッハッハ!! フハぁーハッハッハッハ!!」
突然の高笑い。我々のいる「9×9盤面」の右下(姫様)・左下(私)の
「『マゼンタ
「この『ダナエ
赤色と橙色。派手な色彩のタイツのようなスーツに全身を包まれたふたりが全身に渾身の力が入ったかのような
少女然とした叫び声のようなものが響き渡る中、私は早くも「平常心」というものを保つのに、かなりの集中力を消費してしまうのだが。
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