#161:残債で候(あるいは、確実なる隔日/仕様です)
「でぃえぁはははは!! 神妙に眉間の『Dホール』を撃ち抜かれるってんならよぉぉぉ……全身にハチの巣ばりに『銃弾』を撃ち込むなんてゆー、おいたは勘弁してやってもいいいぜぇぇぇあはははは……」
翻訳されてなお、つかみどころの無い言葉をのたまうその輩は、プロテクターに体や顔周りを包まれているからか掴みづらかったものの、どうやら女性と思われる。痙攣のようにひと言葉ひと言葉ごとに肩や背中をひくつかせるその仕草は、女性っぽさというよりは人間っぽさが多分に希薄な様をこちらに突きつけてくるが。同時に手にした小銃の銃口をもこちらに向けて来る。
「キシュシュシュシュ……優勝賞金の十億が無理としても、ここでこのこいつらを屠ることが出来たのなら!! えらい報奨いただいて、二階級ばかし特進してしまうかも知れないんだわいんなエヒヒヒヒ……」
もう一人の方も描写ははばかれるものの、あえて言うとネズミとヒト科のメスが融合したかの如くの相貌をしており、形容しにくい高笑いを鳴り響かせながら、隣の輩と同じような小銃を腰だめに構えていた。
「……」
姫様は無防備にて佇んでおられるだけであるが、私がその前に立ち、不逞輩どもの「射線」が直射せぬよう、身を張って阻む。姫様には例え「仮想現実」の弾であろうとも、その御身に当てるなどということはさせぬ。集中を前面に展開するかのようにして、私はその二人の女性らと対峙するのであるが。
「ジローネットよ。構えるでない。奴らとの邂逅は……単に偶然であろう。精一杯の虚勢を張ってはおるが、目の泳ぎ、それは随意ではどうにもならぬ」
姫様の声は澄んだまま、周りの木々に吸い込まれていく。そしてこの落ち着き……おっしゃられるように、この輩どもの高圧的態度は虚勢であるというのだろうか。しかしてその事を目の挙動のみで判断できるものなのであろうか……姫様の秘められし能力のようなものが、いま一斉に開花し始めているような、そんな高揚感と空恐ろしさをない交ぜにしかかのような思いに私は囚われている。
「DEPを装填すれば、周囲に通告されるのだろう? 未だそのような報せが無い以上、全ての者が未だ『弾無し』」
何であろう、姫様の冷静なる洞察力に驚嘆すると共に、冷ややかに罵倒されたる思いも何故か感じながら、私は然りと強張る体の力を抜く。
「のやぁ~はっはっはぁ!!
何が可笑しいのか、断続的に体を震わせながら、最初に言葉を発した女は言うが。であれば、虚勢ではなく余裕……なのであろうか。ずいと私に並びかけられてきた姫様を横目で見やる。こちらも相変わらずの凪いだ余裕。
「
ネズミ女の言葉、一理あるような気がする。いや、納得してる場合ではない。その言葉を合図としたかのように、両の女衆は、両手を高々と上げた、まるでコスラホレモッポの威嚇動作が如く隙の無き構えを取ると、突然、思いがけぬ素早さでこちらに向けて飛び掛かってきたのであった。
唐突に始まりし戦闘。私の得物であるところの「
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