第4話 中島翔哉をどうするべきか……などなど 後編

「森保ジャパンに、懐疑的な声が大きくなったのも19年の年末ぐらいからだった。ベネズエラに1-4敗北。韓国開催のE-1で韓国に1-0敗北。

 AFC U-23選手権は、モチベーション管理が難しい大会だった。日本は既に東京五輪の出場資格を得ている。海外組の招集ができず、不慣れな陣容だったこともありGS敗退。


 俺は日本開催のE-1で韓国に1-4敗戦って奴を見てるから、解任までは思わない。前に俺は日本人監督は外国人監督より能力が低いと言った。まあこんなものだろうというのが感想だ。日本人の特性を理解しているから船出は上々、だがこの先、上積みがある可能性は低いだろう。そこまで理解しての森保監督就任ではなかったのか。まさかみんな森保監督が世界トップレベルの監督だと思っていたのだろうか。現A代表は若手に楽しみな人材を抱えているが、リオ世代ははっきりと谷間だ。むしろ森保監督はよくやっているとまで言えるかもしれない。


 監督というのは大変な仕事だが中でも代表監督はナショナリズムが絡んだ期待を背負うから受ける重圧は並大抵ではない。岡田武史も日本代表監督なんて引き受けなければ今でも監督稼業を謳歌していただろう。




 ハリル、トルシエは自分の戦術を選手に守らせる、悪く言えば強要する監督だった。結果、トルシエには最後の最後、日韓W杯の最中に選手が反抗して微調整を加え本番に臨んだ。ハリルのときはお前らが知る通りだ。


 ザックは3-4-3の練習をしたが当時のJリーグは4バック全盛。日本代表の戦術理解度が足りず、断念し、中心選手が望んだパスサッカーに舵を切った。中庸と言うべきか。岡田武史もこの類いだろう。


 ジーコ、露W杯の西野、そして森保は選手達との話し合いで戦術を練り上げた。主導的ではなく、選手の意見を尊重しまとめ、決め事を練る。

 昨年のA代表は図抜けた突破力を誇る中島に引っ張られ縦に速い攻撃を主軸とした。翻ってU-23代表を観ると日本的パスサッカーをしている。


 

 独W杯のオーストラリア戦、1点リード、しかし防戦一方の後半34分に小野伸二を投入した場面。小野は『落ち着かせろ』とだけ言われピッチに入った。守り切りたい守備陣と点を取りたい前線で意思統一が成されず、パワープレーから3点を喫して敗北。

 ジーコは小野を入れポゼッションを上げて守り切ろうとしたが意思が伝わらなかった。おそらくプランB第2の戦術すら準備していなかったのだろう。ジーコは常に同じやり方で戦った。


 こういった敗戦を糧にしたい。

 戦術的柔軟性が欲しい。引き出しの多さは行き詰まったときに役立つ。状況に応じて使い分けたい。

 ベルギー戦の二の舞を演じたくはない。同様のシチュエーションはきっとまた訪れる。いや今までだってあった。アジア相手では大抵の国に優勢に戦えてしまう。顕在化しなかっただけだ。敗戦こそいい薬になる。


 個人的にはA代表も少しポゼッションを上げて守備陣の負担を減らすべきと考える。日本が攻め急いでばかりいればカウンターを食らいやすい。勝ってるときのポゼッションは相手にプレスを強要できる。


 相手を走らせ、体力的に優位に立ち、日程の厳しいW杯を勝ち抜く。ペップバルサだって常にポゼッションしてるわけじゃない。チャンスと見れば速攻に出る。数的不利ならボールを保持する。当たり前のことだ。


 ただし、現A代表の最終ラインは冨安の台頭により歴代でも1.2を争う守備力を誇る。柔軟に戦える陣容だ。ポゼッションで守備の時間を減らすだけではなく、適度に縦に速い攻撃で攻撃的にいくのもアリだ。


 日本代表のカメルーン戦。

 どうせ日本でやってもコロナ禍で観客収入は大して得られない。Jリーグは延期しまくったため過密日程で選手を出せない。というわけで海外組のみでオランダで試合。

 海外組にとっては移動の負担も少なく、いいコンディションでの試合になった。 

 

 前半カメルーンはロングボールを放り込む。しかし日本のCBは優秀。さして苦にもせず跳ね返す。日本は特徴のないサッカー。カメルーンがプレスをかけるとロングボールで裏を狙うが、高さも速さも相手の方が上。何の効果も無かった。だが、ショートカウンターのリスクを負うより相手に裏への意識付けをさせておく方がいい。

 アフリカ人の身体能力に対し、日本は運動量とテクニックで対抗。試合は均衡した。


 日本がボールを保持すると……なかなか糸口が見出せない。

 特に左サイドは沈黙。

 詰まると仕掛けて相手守備陣にひびを入れようとドリブル突破を試みていた選手がいない。

 中島翔哉がいない。


 後半、日本は安西に代わり伊東純也を投入し3バックに移行。伊東はフレッシュな足を活かし右サイドで暴れ回った。もともとテクニックで優位に立っていたところをスピードでカバーしていたのに、右サイドはスピード面で互角になり、均衡が崩れる。

 伊東はベルギーでの成長を見せた。83分、タッチライン沿いに追い詰められ、背中に付かれたところをバックヒールで股抜きパスを通したプレーは素晴らしかった。大迫はそのプレーの予測ができず、オフサイドだったが。

 やはりベルギーは日本人に適した移籍先だ。


 がっかりした者も多かった。日本のサッカーファンは久保建英を期待していた。

 お待ちかねの登場は65分。しかし特に効果的なプレーはできず、FKだけが見せ場だった。鎌田も同様、フランクフルトのように技術でもって外国人との化学反応を見せられるわけでもなく、存在感のないプレーに終始。

 親善試合だったがカメルーンは高いモチベーションで戦ってくれた。特に後半は放り込みせずある程度ボールを保持、日本を苦しめた。スコアレスドローにはなったが見応えのあるいい試合だったと思う。



 コートジボアール戦。

 日本人待望の久保先発。だが左サイドだった。右サイドには前の試合で株を上げた伊東。激戦区右サイドから押し出された形。鎌田がトップ下、CFには鈴木武蔵。中山が左サイドバックに。中山は攻撃参加こそ少なかったが、ポリバレントで評価を高めた。


 前半は日本のパスワークが冴え渡る。コートジボアールは3人目の動きにルーズで、日本に出し抜かれること多々。しかし日本もアタッキングサードからのアイディア不足で崩しきれない。

 その中で伊東は一人気を吐き、この試合ずっとグラウンダーのクロスを放ち続けた。しかしニアに誰も行かないから徒労。


 普段から欧州で揉まれている選手達は逞しかった。そして世界を意識している選手はよく鍛えている。カメルーン戦もそうだったがさほど当たり負けせず、奮戦。海外移籍は成長を早める。隔世の感。だが久保は不発。ドリブルは一度も抜けなかった。


 この試合で鎌田はようやく持ち味を見せた。特に南野が投入されると余裕ができ、前を向いてプレーできるようになった。遠藤もドイツでの成長を見せた。淡々とデュエルをこなす姿には風格が漂いはじめている。

 冨安はどこまでいけるか楽しみだ。少なくともボローニャにこのまま収まる器ではあるまい。久保と異なりローン移籍ではないので大切に育てられている。今まで岡田Japanの闘莉王中澤コンビが最強だったが吉田冨安は超えているように見える。

 

 鈴木武蔵はトップスピードとシュート力が魅力だ。だがそれを活かす機会はグラウンダーのアーリークロスに飛びつこうとした一度だけ。とにかく鈴木の前にボールを供給したい。ミドルもあるのだが、目の前のDFを外すスキルが不得手でそもそもシュートを撃つ機会が限られている。


 91分に魅せてくれたのは柴崎と89分に投入された植田の鹿島コネクション。ファーへのクロスは見事な軌道。柴崎が余裕を持ってプレーできればパス精度が活きる。そんな状況を、どうやってつくっていくか。

 株を下げたのは堂安。伊東の成長が一層不甲斐なさを際立たせる。日本人は皆、パスの素養がある。それだけでは、日本代表では特長になり得ない。


 

 日本での興業は時差ボケと観光気分での日本遠征になるからチーム強化にならない!

 なんて声をよく聞くが、期せずしてコロナ禍がヨーロッパでの代表戦を増やすことになった。

 パナマとは2年前にも新潟で親善試合をしている。身体能力は高かったもののすぐに息切れする、観光客だった。

 今回はオーストリアでのゲーム。言い訳はできない。パナマの士気は高かった。


 パナマは明確な狙いを持って日本に対抗。ショートカウンター。

 最終ラインは高く。2ラインの間隔をごく狭く保ち、パスを受けるコースとスペースを抹消。

 日本がいつものようにパスをつないで攻め入ると、高い身体能力で寄せる。


 日本に対して満点の対策だった。

 これは完全無欠……なわけがない。


 日本の立場はバルサに似ている。実力がじゃない。スタイルが似ている。日本人の能力がそうさせている。国の代表チームは国籍の縛りがあり、自給自足でなければならない。また、国民の生まれ持った資質がパスサッカーを志向させる。それはスペインやメキシコも事情は同じだ。そうじゃないと勝てない。

 一方、EU圏のクラブはホームグロウンとEU圏の問題をクリアしていれば、望む特徴の選手を選択できるため事情は異なる。Jリーグのクラブに背の高い選手を海外から集めてキック&ラッシュだって可能だ。日本人はそれを好まないが。


 で。

 以前、チリ代表は日本の上位互換だという話をした。メキシコも、そうだ。スペインも。更に上をいく。

 フィジカルにもろさを見せ、技術で補う。


 バルサが惨敗した、2012-13シーズンのCLバイエルン戦。そして近年のCLはみんなそうだ。中盤をパスで制圧できないと脆弱な守備陣があらわになる。

 パナマと同じく最終ラインを上げ、2ラインの間を狭く保ち、パスを受けるコースとスペースを抹消。ボールを受ける瞬間に体を当てトラップミスを狙う。バルサは線の細い選手が多く、フィジカルコンタクトに弱みを持つ。キープができない。


 日本代表のサポーターであれば既視感があるはずだ。


 攻略法は以前に話したとおりシンプル。足の速いアタッカーを配してスプリントさせ最終ラインの裏にロングボールを蹴る。

 日本にそんな選手はいるか。ベンチに座っていた。


 パナマ戦、日本は3日後のメキシコ戦に備えリーグ戦の疲労が残る選手を代えた。ワントップに南野を試し、2シャドーに久保と三好を配置。


 ゲームが始まるとみんな困った顔をした。

 パナマはハーフウェーラインを超えるまでプレスして来ない。露骨にパス封じ、カウンター狙い。下手な奪われ方をしたらスピードあるパナマ人にあっと言う間にボールを運ばれる。

 日本は退屈そうに後ろでパス回し。

 ピッチは悪く、パスワークで崩すのもリスクがあった。

 隙を見計らってロングボールを蹴るが、身体能力の高いパナマに競り合って勝てるわけもない。特に久保はロングボールのレシーバーとしては不適で前半は見所なく終わった。まあ、誰にも見所なんてなかったが。


 後半、橋本に代えて遠藤。

 日本代表の遠藤といえば遠藤保仁だったが、遠藤航もドイツで急成長し頭角を現し日本を代表するセンターハーフに成長。こちらはやや守備力に振っている。

 危機察知能力と予測力に長け、攻撃の芽を摘むのが早い。派手なプレーを好まないので目立たないが、気がつくとボールを奪って味方に提供している。

  

 それにしてもヨーロッパ組だけで代表チームを構成できるなんて。素直に喜ぶべき進歩だ。

 努力しているのは日本だけじゃない。その中で這い上がるのは容易ではない。


 後半は勇気を出して積極的に両ウイングバックが上がる。試合が動き出した。

 パナマ守備陣の網目が広がり、スペースが生まれる。南野がPKを獲り、自らが決めて先制。


 個人的に期待していたのだが板倉はセンターハーフとしての目がないかもしれない。メディアはどういうわけかパスがうまいと書きたてるがフォームがどうにも不格好で見ていられない。かと言って高さでは吉田冨安には敵わない。強豪相手であればアンカーとして起用すべき。フィジカルコンタクトの強さは日本人離れしている。欧州の強豪のような肉弾戦を強いられる相手にはうってつけだ。


 71分、久保に代わって鎌田。

 久保はここのところ不調。本当に不調であってくれることを願う。

 手裏剣が手を挙げる。

「コーチはメガクラブで活躍するのは難しいって言ってたけど、どうして? 強いチームの方が攻撃に専念できていいじゃん」

「悪くない質問だ」

 剣は微笑した。手裏剣は少しどぎまぎする。

「メガクラブは勝つことが多い。その他のチームはメガクラブと引き分ければ笑顔になってはいけないと思いつつ誇らしげにドレッシングルームに引き上げる。

 そこには歴然と格差が存在する。カップ戦にもなると給料に100倍以上の差が出ることもざらで、しかしボールの前ではほぼ平等になる。


 メガクラブに対するとき、欲を出しすぎてはいけない。身の程を知り、現実主義に徹する。

 逆の視点に立てば、メガクラブは常に勝ち点3が欲しい。引き分けのまま試合終盤になったらどうする。DFラインを上げ、もっと攻めるしかない。

 そしたらほら、カウンターの芽が出てくる。


 つまり、強豪は相手にリトリートされる機会が多くなる。

 メガクラブで活躍するにはリトリートされても、得点機を創れる能力が必要だ。


 久保には現状、その能力が足りない。

 1対1にしてくれれば突破力を活かせるが、強豪ビリャレアルにそんな隙をほいほい見せるお人好しなクラブはプリメーラには存在しない。

 弱小マヨルカには、あった。マヨルカにはガンガン攻めてきてくれた。だから久保はカウンターで活躍できた。

 ビリャレアルはボールを保持するサッカーを志向している。久保はバルサのカンテラ出身の割にポゼッションを苦手としている。久保の突破力を活かす場面は限られている。


 次に手を挙げたのはモーニングスター。

「でもさ、強豪でかえって得点を量産している選手もいるよね」

「もちろん。

 強豪にいるなら、どうするか。

 強豪には優秀な味方がいる。


 味方の力を引き出し、味方に活かされる。相互作用。化学反応。

 ソリストではなく、オーケストラになる。

 久保のようなローン移籍の傭兵は、連携を築くのが難しくなる。でも仕方ない。自分でレアル移籍を決めたのだから。


 エメリ監督は『ゴールに絡む動きを増やしてほしい』と注文している。

 繰り返す。そもそも。久保がゴール前に進出する機会は稀だ。少なすぎる。オシムは日本人に『考えて走れ』と説いた。そもそも走る量が少なすぎるのだという意味も含んでいる。

 

 

 話を戻す。

 72分。南野に代えて浅野を投入して、勝負あり。

 浅野の走力があればDFラインが上げづらくなる。それでも追いつくためにパナマは上げるしかなかった。

 78分。浅野の飛び出しにキーパーは出るしかなく、レッドカード。


 やはり中立地での試合はいい。相手のモチベーションが違う。日本は天敵になるだろうショートカウンター狙いに対するいいテストになった。

 長友が冴えなかったが、能力の衰えなのか見極めたい。

 

 メキシコ戦。日本は現状のベストメンバーで挑んだ。4-4-1-1。メキシコは4-1-2-3。

 得点しろと言う森保監督の思いが鎌田の9番に込められている。以前の南野もそうだった。

 前半、メキシコはハイプレスで日本を窒息させようとした。しかし日本は悪いピッチをものともせずメキシコをいなし、メキシコ陣バイタルエリアを効果的に使ってパスワークを披露。


 欧州でプレーしている選手は戦術眼がいい。残念なことでもあるがそれだけ欧州のコーチが良質で選手が良く成長しているということだ。以前、本田圭佑が海外移籍を強く勧めていたが、そういうことなのだろう。

 鈴木武蔵が決定機を迎えるも、決められず。


 後半になるとメキシコはディフェンシブハーフを2人に増やし、バイタルを閉めた。これにより戦況は一変。日本はボールを前に運べない。地力の差が出る。徐々に劣勢に。ヒメネスがゴール前の混戦から抜け出して、フィニッシュに技術を見せゴール。


 68分。メキシコのカウンター。マルティンが右のロサノにスルーパス。同サイドの冨安はオフサイドを取りに前へ。吉田は2mほど後方に残り、オフサイドは取れず。

 ロサノがシュミットとの1対1を制し2点目。


 オフサイドを取りに行くとき、完全に揃った動きをするのは危険だ。

 ボールサイドの選手が、ボールが出るタイミングや状況を見て最後の調整をして上がって取るべき。そうしないと意思疎通に失敗したとき、このように突破されてしまう。どちらが悪いか分からないが、ロサノをマークしている冨安の方が前にいたのはおかしい。


 70分。ロドルフォ・ピサーロを日本人3人で囲みタックルするシーン。解説は福西崇史。

 『今ここ3人ね、取れると思うんで……取れないのか!』

 個人能力の差は歴然としていた。ストロングポイントが何もない状態ではしんどい。


 だんだん霧が濃くなり、何が何やら。

 79分。伊東が右サイドを突破。しかし時間が掛かったので、珍しく浮き球クロス。

 『データと違う!』

 グラウンダーへのシフトとしてニアに蓋をしていたメキシコは面くらい、南野に完璧なボールが届いた。ヘディングシュート……をするところだが、南野はなぜか胸トラップ。トラップ失敗でボールが体から離れたところをクリアされてしまう。


 後半の劣勢は日本人の能力を見極められ、メキシコがストロングポイントを活かすサッカーをしてきたからだ。メキシコは世界的に見て高い技術を誇るが、日本もそこに於いては対抗しうる。

 そこでメキシコはデュエルをガツガツ仕掛けて優位に立った。メキシコ人は背が低いが、それでも球際で負けてしまう。


 メキシコの修正力は見事だった。中盤を支配されると柴崎の居場所がなくなる。

 この試合は決定力の差で決まった。鈴木と南野が決めていれば同点だった。


 敗北したことでさっそくネット民は森保監督への攻撃を再開。

 うーん。現状の戦力でこれ以上を望むのは高望みしすぎじゃないだろうか。


 岡田武史の時もそうだったが、日本人監督は特に叩かれやすいと感じる。

 そして、この人達は日本代表は歴史を積み重ねれば右肩上がりに強くなるはずだと信じている。そんな甘いもんじゃない。メキシコを見ろ。W杯では1994年から7回連続ベスト16で散っている。


 正直、今はかがむ時期だ。

 東京世代はリオ世代と質が違う。きっと未来は明るい。


 コロナ後の4戦が終わった。

 以前の森保Japanと、印象が違う。

 手堅いチームになった。悪く言えば地味。人気は出ないだろう。濃いキャラの……発信力のある選手がいなくなった。メディアは久保にスポットを当てたいが試合に出られなくなった。

 ただ、久々に守備力のあるチームだ。大崩れはしないだろう。


 中島翔哉がいなくなったせいだ。


 中島は必要だ。

 中島は劇薬。それゆえに、いい作用になるように努力が要る。

 中島も変わらねばならないし、中島に守備をしろと馬鹿なことをいうサポーターも、変わらねばならない。


 中島は王様になるべきだ。

 敵チームのサイドバックがオーバーラップしたとき、ついていかない。

 攻撃に専念する。


 面白い駆け引きが見られそうだ。もし敵のサイドバックがオーバーラップしたときは、守備的MFがカバーする。遠藤が適任だろう。 


 ただし、中島は仕掛けるのでボールを取られる回数は増える。つまり、ボール保持率は中島がいるときの方が下がる。そして守備の時間も増える。


 中盤は一層守備力が求められる。柴崎は、メキシコのような強豪相手には起用しなくてもいい。リードされてリスク覚悟のときは仕方ないだろうが。その代わり、前に残った中島にボールが渡った際は刺激的な展開が見られるだろう。守備固めで逃げ切りを図るときには中島を交替してしまった方がいい。

 ドリブル突破したときの見返りは大きい。もちろん、代表の人気を考えても中島がいた方が華がある。ただ、コンセイソン監督に見放されつつあるのが気がかり。

 

 日本代表はしばらく2次予選が続く。ぬるい相手が続くので新戦力を積極的に試すだろう。川崎の三苫はどんな化学反応を見せるか楽しみだ。


 個人的な話になるが……いや、お前らも同じはず。DAZNがCLの放映権を取得しなかったのには参った。日本人はCLを観戦する機会がごく限られることになった。

 DAZNも赤字で大変だろうが、がっかりだ。決勝ぐらいはフジが観せてくれるだろうが。すぐにでもスカパーに動いて貰いたいがこの不況で一旦離れた顧客が戻るかどうか。結果的にDAZNが市場を荒らした形になってしまった」



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ちょっとサッカーの話 2020 幼卒DQN @zap

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