Ne.21『なにそのすごいお相撲さんみたいな名前』
佐原「根岸やべえ! やべえ発見した! 人類の歴史がひっくり返るような」
根岸「ほう、歴史がひっくり返ったらどうなるんだ?」
佐原「え!?」
根岸「ひっくり返ったら」
佐原「ひっくり返ったら……」
根岸「そう、ひっくり返ったら」
佐原「し、しきれ?」
根岸「そういう現象なの?」
佐原「うん、人類の歴史が、しきれのいるんじになるくらいの発見した!」
根岸「しきれのいるんじ」
佐原「なんだそりゃ!」
根岸「俺が聞きたい」
佐原「しきれ、、、んー。敷金礼金?」
根岸「謎はさらに深まったぞ」
佐原「人類は敷金礼金を払っていたのだよ。賃貸人類!」
根岸「誰に払ってたんだ……」
佐原「それは俺にもわからん。宇宙の神秘だよ。わからんがまあほら、ひっくり返るほどの、っていうたとえだよたとえ」
根岸「まあそうか、実際にひっくり返るわけじゃないもんな」
佐原「ひっくり返ったら過去が未来になっちゃう。未来は過去に」
根岸「どういうことだよ」
佐原「レトロフューチャー」
根岸「銀色タイツ着るようになるのか」
佐原「まあたとえだよたとえ。未来の宇宙人類が銀色人類になるくらいの新発見ってこった。宇宙のロマンだよロマン!」
根岸「銀色人類って何だ、、、。グレイ? 宇宙人か?」
佐原「ロマンスグレイ。つまり宇宙にはロマンがいっぱいってことだな!」
根岸「脱線してるぞ」
佐原「お。そうだな。まあほら。えーと。つまり、俺は!」
根岸「おう、佐原は」
佐原「歴史が塗り替わるほどの発見をしたんだよ!」
根岸「歴史が塗り替わるとどうなるんだ」
佐原「え!?」
根岸「塗り替わると」
佐原「……か、カラフルになる」
根岸「ほう、カラフルに」
佐原「白黒写真がカラフルに。白黒映画もカラフルに、灰色ジジイが才色兼備に」
根岸「なんだ灰色ジジイって」
佐原「ロマンスグレイ」
根岸「灰色なのか銀色なのか。そもそも白髪交じりのことじゃなかったかロマンスグレー。宇宙人のグレイ関係ない」
佐原「そのくらいカラフルになるんだよ。他にも、ドブに落ちたうんこみたいな腐った灰色の学生生活が、しんけんゼミによってバラ色に!」
根岸「元々のひどさが気になる。なんだよドブに落ちたうんこみたいな腐った灰色の学生生活って 」
佐原「よく一回で覚えたな!」
根岸「どんだけ濁った灰色なんだよ」
佐原「男子校」
根岸「男子校に失礼」
佐原「しんけんゼミの力でバラ色になる。「あ、この運命の出会い、前にやったことあるやつだ!」って」
根岸「人生2周目かな?」
佐原「まあ、たとえだよたとえ。しんけんゼミ持って異世界転生したら無双できるみたいな」
根岸「異世界転生しても毎月届くんならすごい」
佐原「まあ、つまり、俺は!」
根岸「おう、佐原は」
佐原「これまでの学問が一度に吹っ飛ぶような発見をしたんだよ!」
根岸「大事件じゃん」
佐原「そうなんだよ、全ての学問は爆発四散! 大学も学生も教授も吹っ飛んですっぽんぽんだ!」
根岸「大事件だわ。すっぽんぽん事件」
佐原「教科書も先公も爆破爆破! エマージェンシーエマージェンシー、これより学問が馬鹿になります!」
根岸「落ち着け」
佐原「おいっす」
根岸「結局なんなんだ」
佐原「何が」
根岸「何がって、なんか発見したんだろ?」
佐原「あ! そうそうそれそれ! 人はまた新たなる世界の扉を開いたんだよ!」
根岸「開いたのか」
佐原「自動ドアさ!」
根岸「自動ドアなのか」
佐原「レトロフューチャーだからな!」
根岸「レトロフューチャーじゃないだろ自動ドアは、今現在だ」
佐原「なう」
根岸「そう、なう」
佐原「とにかく開いたんだよ! 自動で!」
根岸「新たなる世界の扉って自動ドアでいいのかな……」
佐原「まあたとえだよたとえ」
根岸「たとえばっかりで話がまったく進まない」
佐原「大発見だよ!」
根岸「そう、肝心なのはそこだよな。何を発見したらそんな盛り上がるんだ」
佐原「聞いてびっくりするなよ?」
根岸「おうおう」
佐原「驚き桃の木山椒の木なんてレトロなリアクションするなよ?」
根岸「今日日聞かない。で、その発見とは?」
佐原「なんと!」
根岸「おう、なんと?」
佐原「肉は、焼くと美味い」
根岸「Oh……」
佐原「ニク、ヤク、ウマイ」
根岸「原始人かよ」
佐原「これは人類史に残る発見だよ! 肉は、焼くと美味いんだ!」
根岸「知ってるよ」
佐原「いいや知らないね」
根岸「なんだその自信」
佐原「じゃあ知ってるか? 直角三角形の一番長い辺の長さは、残り2辺の平方の和になる定理の名前」
根岸「サインコサインタンジェント」
佐原「誰だよそれ」
根岸「知らんけど、そういう三兄弟でもいたんだろう。ブーフーウーみたいな」
佐原「ブーフーウーは誰だよ」
根岸「豚だよ。三匹の子豚。オオカミに家破壊されるやつ」
佐原「豚小屋が!?」
根岸「うんまあ、豚小屋といえば豚小屋が」
佐原「なんてかわいそうな豚……、っていや、何の話だっけ」
根岸「直角三角形がどうとか」
佐原「ああそうそう、そのピタゴラスの定理なんだけどな?」
根岸「なにその怪獣みたいな名前。メガギラスみたいな」
佐原「なにそのすごいお相撲さんみたいな名前。メガごわすって」
根岸「メガごわすは知らないけど、メカごわすはロボット関取」
佐原「蒸気で動くのか! レトロフューチャーだな!」
根岸「蒸気はスチームパンクじゃね?」
佐原「スチーム……、ああいや、燻製の話じゃないんだよ」
根岸「燻製はスモークじゃね?」
佐原「スモークパンク?」
根岸「もくもくしてるのか」
佐原「産業革命だな。蒸気機関の発明によりそれまでちゃんこで動いていたメカ関取も石炭で動くようになったんだ」
根岸「スモークパンクも結局スチームパンクなのか」
佐原「レトロフューチャーだな!」
根岸「蒸気機関はレトロだよ」
佐原「しかしそのレトロな歴史も塗り替わるのだ! 俺の大発見によりな!」
根岸「ああ、肉は焼くと美味いって話か」
佐原「そうそれ! お前はニクヤクウマイの第一発見者の名前を知ってるか?」
根岸「いや知らないし、そんなの人類が文明持つ前の話だろ。知るわけがない」
佐原「第一発見者が名乗り出ないのなら、名乗り出た俺が第一発見者だ!」
根岸「横暴!」
佐原「これからは肉は焼くと美味しくなるという現象をサハラ現象と名付ける!」
根岸「砂漠っぽさがすごい」
佐原「さっきのピタゴラスの定理だって、三角関数はもっと前に見つかってたらしいぞ。ピタゴラスは後から言い出したのに、歴史に名前が残ったんだ!」
根岸「そうなの?」
佐原「そうらしい」
根岸「でもさ、メガごわすは数学とかの学者さんだったんでしょ?」
佐原「メガごわすはすごいお相撲さんだよ」
根岸「え?」
佐原「メカごわすは蒸気で動くらしい」
根岸「そうなの?」
佐原「そうらしい」
根岸「誰だっけ、ピタゴラスの定理の名前の人」
佐原「ピタゴラス!」
根岸「ああそうか。わけわかんなくなってきた」
佐原「おいおいしっかりしてくれよ」
根岸「ピタゴラスさんは、数学とかの学者さんだったわけでしょ? 第一発見者でなくても、権威とか実績はあったわけで」
佐原「まあそうだな」
根岸「佐原は、肉を焼くことに精通してるわけじゃないだろ?」
佐原「馬鹿を言うな。俺ほど肉を焼くことに精通しているものもおるまい。サハラ焼肉のアレといえば俺のことよ」
根岸「焼肉のたれっぽさがあるな。エバラの」
佐原「実績だってある」
根岸「ほう」
佐原「焼肉に行くとするだろ?」
根岸「うん」
佐原「すると俺が肉を焼き、みんなが食べるんだ」
根岸「なるほど確かに。よく見る光景かもしれない」
佐原「俺はいつも、肉を食べられないんだ……」
根岸「おぉ……」
佐原「これをサハラ現象と言うんだ……」
根岸「やっぱりなんか砂漠っぽい」
閉幕
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