第7話  メンテ明け



現時刻は15:36。


ログアウトした蔵人は一応自分が陥った状況を最初から詳細にお問い合わせで報告して、メンテの終了を待っていたのだが…当初の21:00終了を遥かに超えて、その日のうちにメンテが終了することはなかった。



翌日…現時刻08:15。


「もふパラのメンテ終了予定は何時だ?」

『今日のヒトサンマルマル(13:00)の予定です。』

「結構かかってるんだな。」

『発表によりますとチュートリアルで致命的な不具合が確認された為、当初の予定よりも時間がかかっていることをお詫びします。とのことです。」

「致命的な…ね。運営以外のもふパラの情報はあるか?」

『運営以外ですと……掲示板が3件、個人情報サイトが2件ですね』

「掲示板の方は何か面白そうな情報はないか?」

『ないです。』

「言い切りやがった…。」

『現在掲示板の内容は…チュートリアルに関しての文句です。

あとは、それに付随して受付さん嫌い、鬼、悪魔etc.etc。』

「ああ…そうか。情報サイトの方はどうだ?」

『個人情報サイトの方ですと……

ユニコーンを見かけた♪テイムしようと近づいたら直ぐ逃げられた(´・ω・`)

考察!ホームを買えた人と買えなかった人とかですね。』

「ほぅ…そのホームの考察は結果が出てるのか?」

『はい、先着だそうです。』

「先着⁉」

『はい、公式サイトでチュートリアル終了後、先着100名様に格安ホームを提供!

とあったそうです。』

「考察する必要すらなかったと…ん?それなら何で私はホームが買えたんだ?」


蔵人が不思議に思っていると…




『メールが届きました。クラウド様宛です。』

「ん?最上宛じゃなくて蔵人宛?」

「はい、片仮名でクラウド様となっております。』

「ああ…クラウド宛か…。」


蔵人はクラウド宛にメールを送って来る相手を予測する。

可能性は4人…マイ・アネラ・ユイ、そしてもふパラの運営。

最初の3人はないだろうと考えながらメールを確認すれば、案の定運営からであった。





出だしはもふパラをプレイしてくれてありがとう。

と1文で済むところを長ったらしく、かしこまった文章で書かれている。


内容はお問い合わせで送った不具合への謝罪だが私からすればラッキーだったんだろうなといった内容で…

簡単にまとめればチュートリアルでテイムするときに猫から犬に変更した場合にのみ発生する不具合で、チュートリアル終了前に街の外へ出ることが可能だった…

ということらしい。

そして…このことを既知の人が他にいないかどうかの確認。


当然、あの時出会った3人には話してるので、返信でそのことを報告する。

しばらくしたら感謝のメールが長い文章と共に返って来る。





現時刻13:00…。

予定通りにメンテが終了してログイン出来るようになった。


蔵人がログインすると運営からのお詫びとして餌の種100個と5000Gが送られてくる。



後で分かったのはこの5000Gは私が購入した物置小屋ホームが購入できる額だったということ…情報源はあの3人娘。

「ああ、あの確認は知ってるのが私だけだったら、お詫びをケチるつもりだったんだな…こちらは得してるから文句も言い難い…か。」


5000Gは課金すれば5000円相当だが、それなりの人数が居ればかなりの金額になる…はず。

運営はここで儲け損なったということになる。

逆に痛い出費になるんだろうか?普通にプレイすれば2週間ほどで貯まる金額ではあるのだが…。




クラウドは昨日終了出来なかったチュートリアルの続きをする為にギルドへと向かう。

今回は見えない壁に阻まれることなく、ギルドの方へと進むことが出来た。


「テイマーギルド『もふ』へようこそ♪…ってあれ?クラウド様じゃないですか、昨日はすいませんでした、依頼内容をきちんとお伝えするべきでした。

あの後ギルマスに凄く怒られてしまいました…すいませんでした。」


申し訳なさそうな表情でこちらに謝罪して来る受付さん…変に細かい修正して来るな。

各自反応は違うのだろうが、クラウドは謝罪を受け入れる。


「済んだことですから、もういいですよ。」

「ありがとうございます♪」


もし訳なさそうな表情から明るい笑顔へと変化して、礼を言って来る。


うん、細かい…。


元々可愛らしい容姿の受付さんが申し訳なさそうに謝罪して来れば、男性陣は許す者が多い…かな?

女性陣はどうなのだろうか…今度聞いてみよう。


「クラウド様はテイムLv2になってますから、ギルドからのお祝いとしてアニマリートの卵をプレゼントします。」


そう言った受付さんの前に何種類かの卵がケースに入って現れる。


「こちらの中から1つ選んでください♪」


卵は5種類、特に模様はなく、黒・赤・青・白・緑の5種類。


「これって色が違いますけど、どれが何の卵なのか決まってるんですか?」

「決まってません、こちらの卵から産まれるアニマリートは完全ランダムです。」

「え?それなら色は…。」

「ギルドの方で色を塗りました♪」

「自分たちで塗ったの⁉」

「はい♪本当は白なんですけど、色があった方が選ぶとき楽しいでしょ?」

「楽しいでしょ?って…。」

「ここにあるのは白のランダム卵ですが、街の外で見つけることが出来る卵は色、模様で産まれて来るアニマリートの種類が決まってる場合もあります。」

「あ、そうなんだ。」

「残念ですが、そう言った話があるだけで…未だ確認は取れてません。」

「確認が?」

「そこは各テイマーの皆様で確認して頂ければと。」

「自分で探して確認していけってことか…それに会話が成立してる。」

「それでどれを選ばれますか?」

「それなら…黒でお願いします。」

「黒ですね、本来孵化に200Gがかかります、ですが今回は孵化までサービスです。卵を孵化している間に講習を受けて来て下さいね。」


ミッション:講習を受けよう。

ミッションが表示されてまた矢印が表示される。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る