第8話 講習



ミッション開始と同時に表示された矢印に従って、ギルドの2階へと移動する。

2階にはギルマスの部屋、あとは教室のような部屋がいくつかあるだけで、

矢印はその内の1つの部屋を指示していた。


クラウドはその矢印に従って部屋へ入ると、1人の教官っぽい人が居る。


「お前が今回の新人だな、これからテイマーの心得を教える、ティーチヤだ、そんなに顔を合わせることはないと思うが、一応よろしくな♪」

「あ、はい。よろしくお願いします。」

「それでは早速講習を始めるぞ。」



ティーチヤさんの説明は殆ど知ってること、普通であれば当然なことでした。


街の外にいる動物に過度の攻撃行為をしないこと。

街の外の動物はテイムや依頼で罠を仕掛けて捕獲することが可能だそうです、

その為の注意です、場合によってはテイマー資格剥奪…

…このゲームで遊べなくなるということですね。


テイムした動物、アニマリートを攻撃、虐待しない。

それは当然のことだと思うんですけど…。

これもテイマー資格剥奪されるとのこと。


アニマリートの餌は2日に最低1回、餌を与えないと3日目には死んでしまうことがあるそうです。

餌は現実とは違いこのゲーム内の餌で、ビスケットのような感じの物でした、あの畑に植えた種からビスケット…違和感しかありません。


アニマリートに出来る動物はほぼ全て、街中、街の外にいる動物、発見される卵から孵化した動物。

ほぼ全てというのは今後テイム予定の動物が試験的に極少数街の外に存在しているそうで、触ることは可能だがテイム出来ないとのこと。

これをティーチヤさんの説明で言うと…

「街の外にはまだテイム方法が分かっていない動物が存在する、触れたり、撫でたりすることは出来るが、何故か範囲外になってテイムは出来ない。」

「はい、昨日嫌とういう程経験しました…。」



「それでは最後にテイムだが、テイムするにはこの指輪が必要になる。」


ティーチヤさんは自分の着けている指輪を見せてくれます。


「指輪?」

「そうだ、この指輪を街の中の何処かに隠してある。」

「隠してあるって…。」

「この指輪で2匹までアニマリートを所有することが出来る、それ以上所有したい場合ははホームを購入しなければならない。

ホームを購入すれば指輪で所有できる2匹と最低10匹まで所有することが可能になる、最高で100匹だが…気を付けろよ?いきなり多くのアニマリートを所有すると餌で困ることになるからな。」


ああ…確かに、今の僕の畑で8時間で5個、1日15個作れるといっても必ず15個作れる訳はないから、10個として計算して…2日で20個、現状最大12匹として餌を2日に1回としても8個余ることにはなるが、結構大変になるかも。


「ギルドからジャーマン・シェパード・ドッグを貸し出すから、一緒に探してこい!」

ティーチヤさんから探してこいと言われて…


ミッション:指輪を探そう。

いつものように矢印が表示され2階から1階に戻ると、階段の下で受付さんではない女性と大人しくお座りしているシェパードが待っていました。


「この子を使って指輪を探して来てね♪」


そういって女性は僕にリードを渡してきます。

受取ると「頑張ってね~。」とだけ言って女性は何処かへ移動します。


それを見送って僕とシェパードは顔を見合わせて見つめ合います。

どうやって探せと…。


「あっ、ごめんごめん。」

そう言いながらリードを渡してきた女性が再び現れます。


「これを使って匂いを辿って探すの。」

そう説明して女性はハンカチを渡してきます。


「この子にハンカチの嗅がせて匂いを覚えさせて、あとはこの子がその匂いを辿って行くから、定期的に匂いを覚えさせないと違う方向に行くときもあるから気を付けてね。」

そう言って女性はまた何処かへと移動していきます。


僕はシェパードにハンカチの匂いを嗅がせようと鼻先に持って行くと、シェパードは匂いを嗅ぐようにハンカチに鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅ぎ「ワン!」と

一声吠えてから立ち上がり匂いを嗅ぎ分ける行動をしてから移動を開始します。







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