第4話 癒しは何処?
憤ったところでチュートリアルは強制的に進行していく。
云われた通りにTPでテイムLv2にすると…。
「おめでとうございます、新人さんですが将来有望そうなのでホームを格安で購入できますよ?」
「ホーム?」
「ホームがあればテイムした動物をより多く所持することが出来るようになります。」
「???」
「通常2匹までしかテイム出来ませんが、ホームがあれば2匹以上テイム出来るようになります。この機会を逃せば今後購入するのは難しくなりますよ?どうですか?今なら何と!500Gで小さいですがホームが購入できます。」
「どうせこれも強制なんでしょ?」
「どうされますか?」
「………。」
「どうされますか?」
「これは強制じゃないのかよ!」
「どうされますか?」
「………購入します。」
「ありがとうございます♪案内の者が来ますのでお待ちください。」
しばらく待っているとおっさんが現れる。
「お前さんか?あんな辺鄙な場所のホームを購入したのは。」
「辺鄙?」
「まあいい、付いて来な。」
そう言っただけでおっさんは1人ギルドから出て行く。
呆気に取られていたが、おっさんは待つ素振りもなくギルドから出て行ってしまったので、クラウドは慌てておっさんの後を追う。
おっさんは無言で、案内するはずのクラウドのことも気にせずに目的地に向かって進んで行く。
街の入口から外に出ると辺り一面草原で、ちらほらと動物の姿が見える。
「馬に鹿………あれはユニコーン⁉」
クラウドの驚きの声にも反応せずにおっさんは先へ先へと進んで行く。
しばらく無言で後を付いて行くと森が見えて来て、その手前に建物らしきものが見える。
建物に近づくと景色が変わる。
「ここだ。」
「ここって…物置小屋?」
「ここがホームで、こっちがテイムした動物を囲える場所になる、今の状況だと10匹ってとこだな。こっちが餌を作る畑だな。」
クラウドの視界には木造の物置小屋と木の柵で囲われただけの囲いと耕されてる地面があるだけである。
「あ、あの~…。」
「そうだった、こんな場所を買わされた可哀想なお前さんに、サービスで餌の種をプレゼントしやる。」
そう言っておっさんは種の詰まった袋を渡してくる。
大人しくそれを受け取ると、おっさんの説明が始まる。
「その袋には種が50個入ってる、この広さだと…1回に5個までしか種を蒔けない、収穫できるのは8時間後だ。」
「早!」
「ホームの増改築についてはギルドに言え。それじゃあ俺の仕事は終わりだ、頑張れよ。」
「え?あ、ありがとうございました?」
おっさんはそのまま少し進んで姿が消える。
「怖!…幽霊とかじゃないよな?」
さて………街に戻らなきゃいけないのか?…いや、その前に種を蒔いてからにしよう。水は…必要ないのか?…??
クラウドが種を蒔いているとホームの屋根にリスがちょこまかと動いている姿が見える。
早速テイムを使用してみるが範囲外と表示される。
「この距離はテイムの範囲外なのか…。」
クラウドが近づけば、リスはその気配に反応したのか姿を隠してしまう。
「…残念。」
クラウドは心底残念だったが、このゲームが未だに理解できていない為、リスをテイムしてギルドに戻れば先程の犬と同じことになるのでは無いかという不安もあり、大人しく街へと戻ることにする。
帰り道に馬や鹿にテイムを使ってみるが、全てが範囲外と表示される。
それでもテイムを使用し続ける、理由は1回使用する度にTPが少し入手出来るからである。
街の入口で寝ているパピヨンを発見して撫でてみる…。
寝ていたパピヨンはクラウドに撫でられたことで少し顔を起こしクラウドを見る、しばらく観察してパピヨンはじゃれるようにクラウドへ飛び掛かって来る。
「おっと。」
クラウドは飛び掛かって来たパピヨンを受け止めて、パピヨンの背中から頭へと撫でる。
「かぁ~♡もふもふですなぁ♪この犬テイム出来ないかな?」
街の中に入る前に入り口近くで出会ったパピヨンにテイムを使用し続けるが、範囲外と表示されるだけで一向にテイム出来る気配がない。
「ここまで近いのになんで範囲外なんだ?」
クラウドは不思議に思いながらも
気付けばTPが3000を超えていることにクラウドは気付き、テイムレベルをLv3に上げてテイムを使用するが結果は範囲外…。
「何だこのゲーム!もふって癒されるのが目的じゃなかったのかー!」
現在進行形でもふっているのだが…クラウドは大声で叫ぶ。
パピヨンはその叫びにビックっとして体を硬直させる。
「あっ、ごめん。ごめんね~♪」
クラウドが硬直したパピヨンを宥めていると、女の子3人が近寄って来て話しかけて来る。
それぞれがテイムしたと思われる動物を1匹ずつ連れて…。
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