第13話

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 その後も二人は戦い続けた。クウガは三種の能力を駆使して攻めるのだが、耐久力の向上した蓮には痛打らしき痛打は与えられず、蓮は終始、押していた。

 蓮の体当たりがクウガの腹部に命中した。クウガは後ろに押されて転けそうになるも、巧みな足捌きで堪えた。

 次の瞬間、蓮の眼前に三つの白球が、クウガの眼前に三つの黒球が同時展開された。すかさずクウガは右ストレート、左フック、右アッパー。流麗な所作で連撃を放った。

(ここで決める!)決意した蓮は両腕を盾のようにした。三つの攻撃は腕に当たり、小さくない衝撃が蓮の身体を襲う。

 しかし蓮は耐え切り、着実に歩を進める。クウガの三歩手前まで接近すると、またしても天啓のようなものを得た心地がして、蓮は両手を胸の前で合わせた。左手は牛舌掌、右手は龍爪掌である。

 危機を感じて黒球を用いたのか、クウガはぐんと後方に加速した。

 刹那、蓮の目の前に、目映いばかりに輝く白色透明の龍の頭部が出現。雄々しく一声吠えたかと思うと、クウガ目掛けて直進していった。

 龍の突進を食らい、クウガは宙を舞った。すぐさまドボンと音がして、クウガは鴨川に着水した。

 蓮は一瞬、感慨に浸るも、慌ててクウガを助けるべく鴨川に向かっていった。頭上では進行方向を変えた龍が、一直線に天空へと昇っていっていた。

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