第7話

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 クウガは走り出した。視線の先では、クウガには視認できない葵依の攻撃をアキナが食い止めている。少し遅れて、蓮もクウガに従いてきているようだった。

 三人の軍人はクウガたちを見据えて構えた。アデルモとロドルフはクウガを、ヘリガは蓮を注視している。

(想定通りの割り当てになったか。戦慣れしていない民間人を戦わせるのは耐え難い。だが蓮自身は覚悟を決めている。俺は自分の敵に専念だな。迅速に除いて二人の援護に回る!)

 割り切ったクウガは眼前に黒球を生み出した。引力の対象は先ほど同様、敵の二人の刀剣である。

 しかし二人の武器は引力を受けるも、手から離れはしなかった。むしろ勢いを利用して切りかかってくる。

(ふん、雑兵どもとの戦いを解析したってわけか。雑魚が一人前に小賢しい真似を働いてくれる)

 冷ややかに分析するクウガは、アデルモの刺突を横に躱した。超念武サイコヴェイラー遣いというアキナの言は真実なようで、一般人とは比べ物にならない身のこなしだった。

 続いてロドルフが斬り下ろしてくる。クウガは軽快にサークリング(円軌道のフットワーク)で回避。背後に回り込みワン・ツーを撃つ。

 日本刀がぬうっとクウガの胸に迫ってくる。ロドルフが後ろを見ないまま、左脇の下を通して突きを放っていた。

 クウガはジャブの手を方向転換。甲で刀の腹を叩いて軌道を変えた。すかさず全力のストレートを無防備な背中に見舞う。

 鈍い音がした。ロドルフは吹っ飛んだ。ノーバウンドで五メートル近く行った後、ごろごろと転がっていった。ずっと向こうの木の幹にあたってようやく止まる。

 すかさずクウガはアデルモに接近。首を狙った横薙ぎが来るも、ダッキングでやり過ごす。頭を戻す勢いも利用し、アッパーを放った。

 顎に見事に命中。アデルモは斜め後方に飛ぶ。受け身も取れずに少し先の地面に墜落し、アデルモは倒れこんだ。

(こんなもんだな。何やら群れて調子づいていたようだが、俄か超念武サイコワンなど、真の遣い手サイコフォーの相手になるわけがない。さて蓮のほうはどうなって……)

 視線を切ろうとしたクウガだったが、視界の端に信じられない現象を目にした。しばらく動かなかったロドルフとアデルモが、ゆっくりと立ち上がったのである。

(何だと? 立ち上がれるダメージではないはず。これは一体……。回復能力のある超念武サイコヴェイラーなど俺の知る限りでは存在しない。もしかすると──)

 思考を進めたクウガは、葵依に目を向けた。アキナが氷の礫を放っていたが、ことごとく空中で何かに阻まれて粉体になって垂直落下していた。

 自らの敵にクウガは視線を戻した。ロドルフとアデルモはすでに隣に来ていた。だがどういうわけか、匍匐前進のような体勢だった。

 いぶかりつつもクウガは再び構えた。だがほぼ同時、アキナたちのいる方角から爆音が生じ、わずかに遅れて暴風がクウガを襲った。

(何が──)クウガは疑問を抱きつつ、広場の端へと吹き飛ばされていく。

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