第8話 サケビクジラ
薬草をストレージにしまい、光石を貰う。
「生産」
光石を中心にガラスケースが出来て、ランタンになる。
「すっげ~!」
「静かに」
アクトの声に反応して、クジラの野太い声が響く。
「な、何だあれ…?」
「あいつは――」
腹はクリーム色で、背中側は赤色だ。大きさは全長5m程だろう。ゲームでも見たことあるサケビクジラだ。
「――サケビクジラだ。風属性の派生属性の音魔法を使うモンスターでもある。討伐は無理そうだな」
「魔法があるじゃないか」
「魔法を打てば他の奴に気づかれる。それだけは避けたい」
「うぃ~」
足下に注意して進むと、その道は途中で終わっていた。
「どうするんだよ。フェル君、ここは魔法を…」
「そうだな」
俺はメニューのヘルプから魔法の使い方と一覧を凝視する。ここは飛行魔法が有効だろう。
「《ウィンドウィング》」
俺の背中に風で出来た羽が現れる。これはイメージ通りに飛行する事が出来る風魔法だ。
俺はアクトの手を掴んで飛び上がる。ふわっとした感覚にアクトは驚きの表情を見せた。
「と、飛んでるぅぅぅぅぅぅ!?」
「ちょ!馬鹿!大声出すな!」
その直後、サケビクジラの叫び声が響いた。突進の合図だ。俺はアクトを両手で抱える。つまり、お姫様抱っこだ。
「ウォォォォォォオオオ!」
「うっせーんだよ!
サケビクジラは口が開かなくなり、怒りが増したのか、突進をしに来た。俺は空中に魔力の床を敷いて跳躍する。光の速度で昇り上げるが、魔力が持たずに暗闇の空間の手前で、休憩を取ることにした。
勿論、サケビクジラは付いていけなかった。
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