第4話 馬車と狼

 ついでとして馬車の護衛を任された。

 合計5台の馬車で隣町のフローガ村へと出発する。俺は一番前の馬車の中でジャンヌと一緒に居た。カタカタという音をBGMの様に聞きながら、瞼を閉じる。

 急に馬車が止まり、慣性が働き、前へと重心が向く。


「冒険者さん!モンスターですッ!」


 運転手が叫び、俺等は外へ飛び出した。二匹の黒い狼と真ん中と大きな黒い狼が堂々と立っていた。


「ご主人様。左右の奴等は黒狼ブラックウルフで真ん中の大きい奴は影牙狼シャドウウルフです」


 俺は前世のゲームを思い出した。剣劇ゲームでは片手剣を良く使用していた。剣技は特徴的な王宮剣術を使用していた。そして今日は復讐の時間のようだ。

 剣を一本抜刀して、左手を腰の後ろにする。剣を視界に入れて、相手の動きを見る。ぱっと動いたのはブラックウルフだ。一頭が近付き、飛び掛かるが、ジャンヌの槍で首を貫かれて絶命する。

 続いて襲ってきた奴は、首がするりと音もなく滑り落ちる。俺の剣には血がとろりと垂れていた。俺が一瞬にして最小限の動きで切り落としたのだ。

 再び構え、シャドウウルフを視界に入れようとしたが、居なかった。


「ご主人様ッ!影ですッ!」


 足元の陰から巨体が現れて、鋭い爪で肉を削られる。


「――ッ!」


 鮮やかな血が宙を舞い、バランスを崩した。俺は剣を投げて、奴の首を落としたが、それ以降は覚えていない。

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