第4話 愛を踏みつけて気楽に近づく

 気のせい



 愛とは許すこと

 許せないけどあいしてる

 愛とは離れないこと

 離れ離れだけどあいしてる

 愛とは強いこと

 強くないけどあいしてる

 愛とはなんですか

 わからないけどあいしてる



「君のことはなんて呼べばいい?」



 彼女は設定に必要な会話に対しても楽しそうに話す。



「タマちゃんが決めて」


「うーん、今会ったばっかだし、夜には決めるよ」


「うん、えっと、晩ごはん作ったりしてもいいかな?」


「お、楽しみー」


「苦手なものとか教えて」


「好き嫌いないよ、君は?」


「私もないよ、テキトーに作るね」



 彼女は私の取扱説明書を読みだした。気にせず料理に取りかかる、嘘だ。少し、気になる。



「いただきます」


「ハンバーグ、すごい美味しい!」


「それは良かった」


「説明書にさ、設定終わってもいろいろやってみましょうみたいなのあるんだね」


「動作確認だね。面倒なら1人でやるよ、もし故障やトラブルの時は申し訳ありませんが、片付けをお願いします」


「え、死んじゃうの?」


「壊れる可能性は常に…」


「なんで?」


「た、例えば水も温度によっては壊れます。私は女の子型なのでたいして重たいものは持てません。新種のウイルス等では対処できないことがあります」


「そっか。あ、君はその髪は伸ばしてるの?」


「これは…設定で。これ以上は伸びません。切ればこの長さまで伸びるようになってます」


「…よし君は今日からクロだ、あと敬語になってる」


「あ、ごめんタマちゃん」


「よろしく。クロちゃん」

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