第2話 喜楽を文にして愛に近づく

 必要なもの


 風が寒くなって葉が色づく季節。とても短く、花が咲いて散るのとどちらが早いのかな。

 私はその木の前でまるで中わたが減ってしまったぬいぐるみのように、ぐでんとしていた。失恋したからだ。泥でぬかるんで、足を取られそうだ。トンボが自由に飛び回っていたが、蜘蛛の巣にも引っかかる。スズメもくわえていった。今年はトンボが多いけど目の前で減っていく。こんな田舎道は数年もすればほとんど消えるらしい。ほとんどなのは上が保存できる範囲は残るからだ。博物館のミニチュアのようにそこだけ田舎のまま残す。そうなったら虫や鳥はどこへいくんだろう。


 そういえば車にひかれたぬきは消えていた


 恋を失った私は、愛を失っていないか焦った。しつあいという言葉はないからきっと大丈夫。だけど喜怒哀楽が薄くなった気がした。空の青さが近頃薄くなって遠くなってきたように。どうにかとめておかないとどこか風に吹かれて飛んで行きそうだった。だけど怒哀の度合ばかり多くてちっとも面白くない文章だった。


 たぬきはどこへ

 値足してる


 毛抜き

 固形してる


 さとり

 浅いし手猿


 蚊取り

 囲いしてる


 間抜け

 まあ医師待てる


 ふぬけ

 ファイト勇気が蓋から物


 歯抜け

 箱石走ってる


 ゆとり

 濃ゆい揺する乙女


 世捨て

 今宵よしたら


 手取り

 手合いするあなた


 ことり

 古代好き



 私の仕事はSFの世界を作ることだ。失恋のせいで、最近だんだんと恋愛ものになる。果たして愛は世界を救い、明日を守ってくれるんだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る