記憶を踏みつけて愛に近づく

新吉

「近づかないでください」

　これはうちのロボットのセリフ。ロボットが発明され、それが浸透するまでたいしてかからなかった。だけど未だに信じられない、愛がない等の意見が根強い。私もあまり好きじゃない。そんな私がなぜ彼女と家にいるか。その理由を聞いてほしい。

　〇〇〇〇〇〇

　時は2096年、交通事故という言葉がなくなった。他にもいろんな言葉たちが近年なくなっていく。ロボットが、宇宙人が、と言うとおばさん扱いされてしまう。まあもうほんとにおばさんなんだけど。

　世界は増える災害に対して、対抗する術を探した。水害に地震、ハリケーン、ことあるごとに世界はめちゃめちゃになった。逃げまどう人々、壊滅する土地。悩んだ末にできたのがロボット。人の姿をしたロボット。普段は何気なく暮らしているが、災害や事件があると彼らは活躍する。人々は親しみを込めてヒーローと呼んだ。似ているようで人には出せない力を持つ。判断力もあり、より多くを助けてくれる。

　また遠い遠いところから宇宙人がやってきた。仲良くなるためではないようで、攻撃的だった。宇宙人とヒーローの戦いでだいぶ数が減った宇宙人の生き残りは、もう戦いたくないと不可侵条約を結んだ。そして彼らもヒーローになり、世界は平和になった。人はたくさん増え、建物もたくさん増え、ロボットもたくさん増え、いつのまにか宇宙人もまた数を増やしていった。

　エイリアンは愛がないとされ、エリンと呼ばれた。