第2話 怖いよ倉谷くん(波多野サイド)

最近、クラスの人気者・倉谷くんが、私によく話しかけて来る。

まあ、多分隣の席になったからだろう。


倉谷くんはかっこよくて優しいから、クラスの女の子達からものすごい人気がある。いや、クラスなんて規模じゃない・・・。学年の女子ほぼ全員が倉谷くんのファンだ。今の1年生や2年生にもちらほらファンがいるから、きっと学校1モテる男の子だと思う。

実は私も倉谷くんのことが好きな1人で、隣の席になった時は心臓が止まるかと思った。同じクラスになれるだけで十分なのに、隣の席になれるなんて・・・。もう、私は一生分の運を使い果たしたんじゃないかな。

しかも、毎日、いや毎時間のように話しかけられるんだよ?生き地獄ならぬ生き天国だよ・・・!

まあ私、コミュ障だしあがり症だから、この幸せな気持ちを倉谷くんに伝えることは出来ないんだけど。


「波多野さん、髪の毛にゴミついてるよ」

「・・・」


わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ///

倉谷くんがっ!倉谷くんが私の髪の毛を触っているぅぅぅぅ!!!

もう嫌だ、倉谷くんかっこよ過ぎて怖い・・・。


「きゃー、波多野さんいいなぁ」

「私も倉谷くんの隣になりたかったっ」

「羨ましいよー」


私達より前の席に座っていた女の子達が、口々に言う。

ごめんね、でもこれは隣の席に座っている私の特権だからっ!

心の中で謝り、私は幸せな10分休みを過ごすのだった。


「あれ?このゴミ、全然取れないんだけど・・・!」


はぁ・・・♡もう一生髪の毛は洗わない・・・。

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