波多野さん、惚れてください。
軽部 みな
第1話 無口な波多野さん(圭吾サイド)
「波多野さん、おはよう」
「・・・」
朝、登校した俺は、席につくと同時に隣の席に座る波多野さんに話しかける。
うん、今日も返事は返って来ない。いつも通りだ。若干引いたような目でこっちを見ていたような気がするが、多分気のせいだろう。
3年生で初めて同じクラスになった波多野さんは俺に負けず劣らず整った顔立ちをしているのだが、何しろものすっごく無口なのだ。新学期が始まってもう2ヶ月経つが、未だに彼女が授業以外で喋っているところを見たことがない。
自分で言うのもなんだけど俺はイケメンだし、大抵の女子は俺に声をかけられれば即ノックアウトなのに、波多野さんだけはいつも無反応なのだ。動揺もしないし、顔が赤くなることもない。
「波多野さん、ほんとクールだよね」
「倉谷くんに話しかけられても無口を貫けるなんて、逆にすごいわ」
少し離れた席で見ていた女子2人の話し声が耳に入って来た。
くそっ・・・。でもまだ1時間目の授業も始まっていない!今日こそは、今日こそは波多野さんを俺と喋らせてみせる!
そして、俺に惚れさせてみせる!!
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