(17)
僕とアリスは、切り株に寄りかかっているティルファの側にしゃがみ込んだ。
毛布にくるまれたティルファはぐったりして、完全に意識を失っているようだ。
「頼むぞ、ユウト。お前が最後の希望だ」
アリスはそう言って毛布をパッとはぎとった。
ティルファはすでに鎧も服も脱がされ、ほとんど裸だ。
うわっっ。
僕は思わず顔をそむけてしまった。
ティルファが裸だったからではない。
お腹の大きな傷――おへその辺りが横に大きく裂け、そこから内臓の一部が飛び出ていたからだ。
昔ネットで、間違ってこんな感じのグロ画像を開いてしまったことはあったけれど、生で見るのはもちろん初めてだ。
とても正視できるものではない。
「何をしている。恥ずかしがっている場合ではないぞ!」
と、人の気も知らずアリスがせかす。
「は、はい!」
確かに尻込みしている場合ではない。
ケガで苦しんでいる人に向かって、グロいなんて失礼にもほどがある。
今、自分は
つまりこの人を助けなくてはならない義務がある。
そう自己暗示にかけ、僕はティルファの体と向き合った。
しかし本当にひどい傷だ。
よく見ると、なにか大きな獣に噛まれたあとのようだ。
しかも傷の周りの皮膚が緑色に変色している。
僕はてっきり、ティルファが毒に侵されたのは肩に刺さった矢毒のせいだと思っていた。
だが、もしかしたらこの
どちらにしろ、早く解毒魔法『クリア』をかけなければ助からない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
解毒魔法『クリア』
こちらもごく初歩の魔法だ。
ただ、術者のレベルが上がるほど、どんな強い毒でも速攻で除去できるようになる。
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