(2)
「竜騎士どもはやっぱ訓練されてんな」
エリックがつぶやいた。
「あいつら、ロードラント軍の中でも精鋭中の精鋭だからな」
「へえ、そうなんだ」
「ああ。泣く子も黙るロードラントの
「ふうん。強そうなのは見ためだけじゃないんだね」
「そりゃそうだ。連中は主に貴族や武人の子弟から選抜され、小さい頃からとんでもなく過酷な訓練をこなしているらしいからな。うーん、そうだな……」
エリックはさっと辺りを見回した。
「例えば今、ここにいる俺たち歩兵全員でいきなり連中に襲い掛かっても多分敵わないよ。全員返り討ちだな」
「ええ!? だって兵士は二千はいるよ。それがたかだか百程度の騎士に?」
「ああそうだ。嘘でも誇張でもないぜ」
エリックはニヤリとした。
「どうやら少し風向きが変わってきたようだからな。もしかしたら連中の強さを実戦で拝めるかもしれん」
「え、それって……すぐに戦いが始まるってこと!?」
「うむ。だからユウト、おめーも油断するなよ。あいつらは王女の護衛には命だって懸けるが、俺らのことなんかまったく考えちゃいねえからな。末端の兵士が何人死のうがまったく関心ないんだ。
いや、それどころかせいぜい俺らを『肉の盾』くらいにしか思ってねえ。死にたくなきゃ自分の身は自分で守らなきゃいけないぜ」
肉の盾?
今一つピンとこない。
まあ、いつの時代だって弱い者は真っ先に死に力を持つ人は最後まで生き残るんだ。
それは真実だろう。
でも、こんなに平和な雰囲気なのに、本当に戦いなんてが起きるのだろうか?
敵の気配なんてまったくないし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます