(2)
本当に、本当に異世界に来たのか?
そういえば、頭上に広がる澄んだ青空も、はるか彼方に見える切り立った山々も、道端に生えている見知らぬ草木ですら、何もかもが美しすぎる。
その上、登場人物は、中世の西洋風の兵士とそれを指揮する美しい少女ときている。
まるで夢を見ているよう――
なのだが、それにしては五感で感じるものすべてがあまりにリアルなのだ。
そんなファンタジーな光景をボーっと見とれていると、腰のベルトに付いている革袋が震えた。
この振動、お馴染みのスマートホンのバイブレーションだ。
僕は盾の持ち手から手を離し、そっと革袋を探った。
あった。
スマートホンと、ワイヤレスのヘッドセットイヤホンが手に触れた。
袋からこっそりイヤホンを取り出し、右耳に付ける。
イヤホンは超小型なので、兜の耳当ての下にうまく隠れた。
これなら他の兵士には気づかれないだろう。
さっそく通話キーを押してみる。
一瞬
「どう有川君? はるばる異世界に転移した気分は?」
この世界に僕を送り込んだ張本人、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます