(6)
いや、“出会い”というより、むしろ“再会”と言うべきなのか――?
まったく親しくはないが、セリカは高校のクラスメイト。
ついさっきまで、一緒の教室で授業を受けていたからだ。
「やっぱり有川君だ。ねえ、こんなところで何しているの?」
と、セリカは積極的に話しかけてくる。
「
セリカは日本人とドイツ人とのハーフだ。
入学初日のクラスの自己紹介の時、そう言ってた。
確かに、銀色に光る長い髪とダークグリーンの不思議な色の瞳を見れば、彼女に外国人の血が入っていることは
さらに闇夜でもわかる透き通るような白い肌――それは神秘的とさえ形容できる美しさだった。
学校の中で理奈が可愛い系№1とすれば、セリカは間違いなく綺麗系№1だろう。
しかも噂では、セリカの父親はどこかの大企業の重役で、家はとんでもない金持の超が付くお嬢様らしかった。
何もかも持っているように見えるセリカ。
しかし、唯一欠けているものがあった。
感情だ。
クラスメイトとして過ごした何週間の間に、僕はセリカの笑った顔を一度も見たことない。
いつも無表情ですごく冷たい感じ。
周囲にバリアを張り、誰も寄せ付けない雰囲気を常に漂わせている。
だからたぶん、彼女は友達が一人もいない――僕と同じように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます