陽光を背に受けて

伊豆の白浜もそうだが、今井浜という海岸には何度泊まったか数えきれない。

とりわけ思い出すのは、息子が中学を卒業する頃、以前飼っていたコーギーのシベールを連れて今井浜に行った時のことだ。

夜中に家を出て、明け方今井浜に着いた。

去年暮れ、キリを連れて熱川に行った時もそうだが,道中の犬のトイレって、何とかなるもんだ。

犬も犬でちゃんと分かってて我慢するし、我慢できない時はコンビニの敷地などの隅でおしっこさせて、ちゃんとペットボトルの水で流せば文句を言う人もいない。


で、明け方シベールを誰もいない今井浜の海岸に放すと、喜んで息子と走り回っていた。

キレイな砂浜なので、シベールも気持ち良かったろう。

しかしこれが柴犬キリとなると、ちょっと事情が違ってくる。

シベールは,シベール! と呼べばちゃんと戻ってくるが、柴犬はそんなふうには言うことを聞いてくれない。全く好き勝手なのだ。

柴犬をてなずけるには、本当に深い信頼関係が必要なのである。


で、日が高くなった今井浜で春のうららかな陽気のもと、息子はキス釣りに興じ,私たち夫婦は日向ぼっこをしていたが,シベールも砂浜に寝そべって、終始笑顔だった。


この、犬の笑顔というのは本当に可愛らしいものである。

今飼っている柴犬キリも,散歩の後などはよくニコニコと笑ってくれる。これはなんとも言えないのである。


で、今井浜なのだが、海岸の砂が白っぽくて、清潔な感じがするのがいい。夏になると海水浴客でいっぱいになってしまうが、春とか秋は、散歩するには最高の季節だ。

昔は民宿もたくさんあったが今はどうなのだろう。リゾートホテルもあって、少し優雅に過ごすにはそちらがおすすめです。


白浜はもっと砂が白くて、水もとてもキレイで、私たちも何度行ったか分からない。

民宿は海辺にはないが、今井浜と同じ系列のリゾートホテルがあって、こちらは今井浜以上におすすめです。

でも、今井浜も白浜も、特にコロナが流行して行ってないので、今どうなっているのかよく分からない。


で、その時今井浜での息子の釣果はキスが少し釣れただけで、午後、犬のホテルにシベールを預けると、私たちもホテルに入った。


もちろん、沖縄とかハワイに比べたらつまらないという方もいらっしゃるかもしれないが、こんな近場のキレイな砂浜は、大事にしたいものだ。特に円安で海外旅行が高い今は、こう言う近場の夏休みも、一興かもしれない。


結局、シベールを海に連れて行ったのは、その一度だけだった。もっと色んなところに連れて行ってやればよかったと思う。


じゃあキリを白浜にでも連れて行くかというと、実は私は最近、車の運転に自信がなくなってきた。

狭い道で、何度も左側をこすっているし、昨年熱川旅行の帰り、国道で他の車と接触事故を起こし、妻とキリに随分と迷惑をかけてしまった。

もう白浜まで往復する自信はないな。腰も痛いし。

年をとると、こうしてできないことが少しずつ増えていくのだろうか?


まあ、マイナスのことは考えずに、今度妻と旅行することでも考えるとするか。

今度は電車で行こう。

息子は犬アレルギーだから、妻と旅行する時は、キリはペットホテルだな。

ごめんね、キリ。

また涼しくなったらどこか連れて行ってやるから。

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