列車の窓辺

今回は、ちょっと自分で自分にお題を出して、エッセイを書くという方法を試してみたい。

国語辞典を無作為に開いて、そこから気に入った言葉を選んだのが「窓辺」。

しかし「窓辺」だけじゃ範囲が広く、まとまりそうにないので、「列車の窓辺」としてみた。

と、途端に頭の中で色んな場面が湧いてきて、逆に書きにくくなってしまった。

というのも、列車の窓辺というのはあまりにもロマンを含んでいるからだ。


たとえば最近書いた「つげ義春の旅路」の中の「やなぎや主人」でも、主人公が房総へ向かう列車の窓辺で物思いに耽る場面が2回もでてくる。

旅を題材にすることの多かったつげ義春は、やはり列車にロマンを感じていたのだろうな、と思う。


そういう列車の窓が持つロマンティシズムとでもいうのか、それを実にうまく使った写真を見たことがある。


スーツを着たアラン・ドロンが(知らない方ごめんなさい)車窓を背景に微笑んでいる、紳士服の宣伝の写真だ。

なんとムードたっぷりで、ロマン溢れる写真だろうと、私は思わず見惚れたものだ。

好き嫌いはあるだろうけど、あの、アラン・ドロンという人には、他の人にない、独特の当時のフランス的ムードとでもいうものがあったと思う。

それが日本での人気の秘密でもあったと私は思っている。


他にも、たとえば映画の中に出てくる列車の窓辺は、数知れないほどあっただろう。

出会いや、特に別れ、あるいはサスペンスなどの場面でも随分使われた。

私が知る限りでもかなりある。

そういえば「世界の車窓から」という短い番組も私には懐かしい。


列車の車窓というのは、随分と色々なドラマに関わってきた。

クルマ社会になっても、いつまでも列車の窓辺には語り尽くせないロマンがあると思いませんか?

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