夜、秋を感じながら
介護の話は書きたくないので省略するけど、ここのところ、母が1人でいる実家に泊まり込むことが多くて、なかなか思うように家に帰れない。
そんな夜は妻とラインのやりとりをして、ささやかなコミュニケーションをとる。
きょうは、妻から、縫い物をしていると秋の虫の鳴き声が聞こえると言ってきた。
今年の夏は、暑かった。年々、夏の暑さがこたえるようになってきた。
また今年は生まれて初めて、軽い熱中症というやつを経験した。
吐き気がして、ひどくだるく、こりゃまずいと思って休みながらアクエリアスをたっぷりとった。
しかしそれからも不調は治らず、仕方なく医者に行くと点滴を受け、漢方薬を処方された。
危なかった。
こんなことはもちろん若い時には考えられなかった。
でも、これからは歳だなあとか、歳のせいとか、考えないことにした。
なぜなら私は妻を看取るまで元気でボケずに長生きしなければならない。
というのはハッキリ言って、年金宅配便を見る限りでは、私の遺族年金では妻は生活できないし、ひとり息子に頼らせるわけにはいかない。
妻は私が守るのだ(カッコつけすぎ)。
ヒロミというタレントの歌に、かあさんを悲しませるな、それがわが家のたった一つのルールだ、という歌がある。
私は情けない父親だから、そんなカッコいいことを声高に言う勇気がない。
だから秘かに、そういう決意をして、何とかそれを実行するしかないのだ。だから私の決意は、妻ももちろん知らない。
私はカッコつけすぎだとは実は思わない。
男なら誰でも、妻を守ってやりたいはずなのだ。
しかしそういうことを言いながら、私はこの30年近く、妻にずいぶん苦労をかけ、悲しい思いもさせた。
だからこそ、なおさらこれからはそんなことがないように、精一杯努力したいのだ。
エッセイくらい、なりふりかまわず、本当の気持ちを書いたっていいだろう。
妻が秋を感じると言ってきた。
そうだね。もう秋だね。
私がそう打つと
うん、涼しい。
妻がそう言ってきた。
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