夢のネックレス
きょう、年末で街は混雑しているにも関わらず、妻の誕生日祝いを百貨店に買いに行った。
妻と2人で行ったのだが、今年はちょっと違う意味合いもあった。
妻が今年帰化して日本国籍になったので、そのお祝いも兼ねていたのだ。
アクセサリー売り場に行くと、3、4万円以下のものなどほとんどない。
しかしそれは予想していたことだった。妻と一緒になって28年だから、この際30周年も一緒にしてしまおうという、私の安直な目論見もあり、多少値が張っても仕方ないだろうと思っていたのだ。
突然妻があっと言って立ち止まった。ピンときたネックレスがあったようだ。そこから似たようなものを数点、店員さんに見せてもらい、1番好きなのを妻が選んだ。値段はかなりしたが、誕生日プラス帰化プラス早めの30周年ではケチるわけにもいかないし、今年は家族旅行をしようと言っててそれもしてないし、諸々考えれば仕方がなかった。
車や医療費(入院など)を除いて、この10年で1番高い買い物になった。
さて、贅沢ばかりは出来ない。帰りはラーメン屋さんでとんこつラーメンを2人で食べ、食料品の買い出しをして家へ帰った。
待っていたのは車の手洗いである。年末くらい、自らの手で車をきれいにしてやろうと思い、息子にも協力を要請したが、息子は部屋で自分の趣味(イラスト描き)に夢中になってて降りてきやしない。やっと降りてきたと思ったら、ぶつぶつ、年末の大掃除について文句を言っている。
妻と息子のバトルが始まった。これがしょっちゅうのことなのだ。相性が悪いというのはまるでこの2人のことを言う言葉であるかのように、この親子はしょっちゅうバトルをするのだ。
ネックレスを買って、幸せそうにしていた妻はいずこへ?
あれは、ほんのひと時の夢だった。
また煩雑な日常が戻ってくる。
私は明日も仕事に行かなければならない。
ああ、夢とは常にはかないものなのだ。
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