妻へのお詫び



妻がウッドデッキを磨いている。

ウッドデッキは、年に2回くらい磨かないと、よごれて汚くなってしまう。

きょうはクリスマスイヴだが、年末の掃除のひとつとしてやっているのだろう。


2階から1階へ降りて、おやつの菓子パンを食べ、薬を飲んで、きょうは夜勤明けで疲れているから、と2階へ戻る。

手伝わなくていいのか? と心の中で声がする。いや、もう少し休みたいんだ、と自分に言い訳をする。


万事とはいわないが、多くがこんな具合だ。

ベランダや玄関先に散らばってる枯れ葉を掃除するのも妻。

季節を遡ると、家の周りの雑草をとるのも妻。

それだけじゃない。

食事を作るのも、洗濯物を干すのも、掃除機をかけるのも、トイレを掃除するのもいつも妻である。


心の中で声がしないわけではない。

休みの日などは『やらなくていいの?」とぼんやりと声がする。

しかし私は、その声を殆ど無視してしまう。


勿論そうは言っても、時々皿洗いくらいはするし、洗濯物だって畳むし、風呂も入れたりする。

しかし仕事量は、妻の方が圧倒的に多い。

しかも妻は家計のための仕事をしてないわけではない。

以前は新宿や横浜まで行って中国語を教えていたが、今はコロナで、スカイプでやっている。

教えるということは、エネルギーを使うと思う。


もう、仮眠から目が覚めてかれこれ1時間だ。だけど、まだ、階下からはウッドデッキをこするブラシの音がする。

嫌だなあ。手伝わなきゃいかんかな。外寒いしな。


手伝ってよ、とも言わず、いつも黙々と作業をするから、妻が尚更いじらしい。


しょうがない。起きて手伝うか。

私の重い腰がようやく上がった。

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