小さな大男の格闘
1週間ほど前、鼻の頭に小さなできものができた。
自慢じゃないが、私は子供の頃からこの歳まで、顔にニキビひとつできたことがない。
顔にこういう怪しいできものができたのは生まれてはじめてではないか?
高校生の時、国語の授業で芥川龍之介の「羅生門」を習った時、男が羅生門のところでニキビを指でいじりながら気にしている、というような描写が確かあって、先生はそれを「まあ、大した男じゃないな、これは」と言っていたのを思い出したが、実は私も大した男ではない。
そのできものが気になって仕方がない。
今は仕事などで人に会う時はマスクをするから、鼻の頭など、気にする必要はない、と思うのだが、1日に何度も消炎のクリームを塗らなければ気が治らない。
神経質なのである。小さな男だな、俺も、と思いながらクリームを塗り続ける。
この小さな男の小さなおできは一週間経って、ほとんど見えないくらいらいの小さな点になった。
しかし、この体の大きな小男は、まだ鏡を見て、その小さな点にクリームを塗る。
およそ服装にも無頓着、いい年した男が、鏡を覗き込んで小さな点にこだわっている姿は我ながら滑稽である。
このおできひとつとの格闘で、ひとつのエッセイが書けてしまうのだから、情けないとしか言いようがない。
その情けない自分を皆さんに披露して、私はPVを稼ごうともくろんでいるのである。
全く、困ったもんだ、この男。
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