山口という男



私が一緒に仕事をしている人の中に、山口というひどく低俗でぶしつけな男がいる。


歳は私よりひとつふたつ下だが、まず他者の個人的な事情にひどく興味があり、その割には他者の自分より優れたところには絶対目をつぶって見ようとせず、家では暇さえあればテレビを見ていて、そこで得た知識や、自分がこれまで積み重ねてきた通俗的な知識を人に対して「知ってるか?」と問うてくる。


少しは高尚な事なら許せるが、それはつまらぬ世俗的なことばかりで、知らないと相手を見くだし、得意になる。

そしてそれぐらい知っといたほうがいいですよ。とかなんとか言ってくる。


全く余計なお世話である。


最初はそれも許せる程度のものであったが、段々とどこかの国が海域に踏み込むようにエスカレートし、しつこい。


無視していたが、それもままならない程度にまで来てしまった。


先日は「〇〇のことを、レネさん知らなかったんですよ」と第三者にまで言いふらしていた。


私ももう黙っていない。


そいつがひとつ私の知らないことをわざと言ったら、私もそいつの知らないことをひとつか、ふたつ、必ず言ってやろうと思う。


そいつが通俗的なことを言ってくるなら、私は文学、芸術の分野のことでいいだろう。必ずぎゃふんと言わせてやる。


二度と俺の前で、知識人ぶったりできないように、息の根を止めてやろう。


そいつのプライドは粉々になるだろう。


ざまあみろだ。


と、初めは思った。


しかしよくよく考えてみると、自分をそんなふうに相手と同じ低レベルまで下げる必要があるだろうか。


相手と同じ土俵で戦えば、自分もそいつと同じ低レベルの人間になるということだ。


ユーチューバーで、心理カウンセラーのラッキーという人は、怒りの原因は「期待外れ」にあると言っていた。


つまり、それを当てはめると、私は山口に人並みの良識や常識的な思考を期待していた、ということなのだろう。


あいつはそういうやつだ。ひどく低俗で救いようがないから仕方ない、と、何も常識的な行動を期待しなければ、段々私の怒りもおさまり、山口もいちいちくだらないことをしなくなるのではないか?


今はそう考えている。


あんな低俗なバカに思考と労力を費やすだけバカバカしい。


勝手にしろ、バカめ。


うわっ、読んでくださっている皆様、今回は低俗な内容で本当にすみませんでした。

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