夕暮れ時の幻想。過ぎた日々の夢。

今更禁煙

　静かな喫茶店に入り、ゆったりとした席につく。

　のんびりとコーヒーをすすりながら紫煙をくゆらす。

　1本、2本と吸ううちに何だかぼーっとして気分が良くなり、日々の疲れが溶けていく。

　エッセイのことを考えてみたり、ぼんやりとりとめのない思いを辿って、ネットサーフィンならぬ思索サーフィンを楽しむ。

　こうして過ごすのが、私の最高のストレス解消法であった。

　しかし10ヶ月近く前にタバコを生涯1本も吸わないと決めてからは、喫茶店に行っても随分味気なかった。害ばかりが強調されるタバコだが、吸う時の心地よさは何物にも替え難かった。

　しかしやめた以上仕方なくコーヒーだけ飲んでいたら、コロナのせいで2ヶ月くらい前から喫茶店にすら行けなくなった。

　楽しみがどんどんなくなってきた。

　コロナが無事終息するのか、コロナとの共存になるのかは今は知らないが、（5月８日現在、私は後者だろうと思います）今後は会社員の仕事の仕方を始め、ライフスタイルが色々変わるかもしれない。

　自分も、その変革期を生きる人間のはしくれなのかもしれない。

　今は喫茶店に行けないだけでなく、仕事先の喫煙室も三密になるというので閉鎖されているし、もはやタバコを吸える場所がない。

　愛煙家の方はどうされているのだろう。

　最近やっと、タバコを吸いたいという欲求が殆どなくなってきた。

　苦しい闘いだったが、自分はタバコに勝利したのだ。

　そう、思っている。