不思議なこの世界

 この冬は不思議な冬だった。

 暖冬だったせいか、冬の間中家の中を蚊がのさばっていた。

 一体蚊というヤツはどこから入ってくるのだろう。

 うちは田舎にあり、蚊が多いのは仕方がないのだが、どの部屋の窓にもぴったり網戸が入っていて、以前は蚊など入る隙間もなかった。

 ところがこの冬はもう、家の中で何度も蚊に食われている。きょうも、朝はいなかったのに、ちょっと午後の紅茶を入れに一階に降りたらあっという間に何か所もかまれてしまった。

 勿論痒くて仕方ないので、すぐに薬をつけて、ベープマットをつける。

 できれば手のひらでバシッと叩いて殺してやりたいところだが、姿が見えないのでベープマットに頼るしかない。

 一体どこから入ってきたのだろう、と思う。

 度重なる地震に耐え、年数を経た我が家には、知らないうちに蚊の入る隙間くらいできているのだろう。

 憎ったらしい蚊め!

 しかし蚊が全滅したら、ミジンコがいなくなり、そうすると生態系にも影響が出ると子供が言うので、蚊がいなくなればいいとか、そう簡単な問題でもないとも思う。

 この世界は、必ず両面でできていると感じる。いい虫、美しい虫もいれば、蚊のようなヤツもいるし、人間でも、いいヤツもいれば、必ず嫌なヤツもいる。

 物事は必ず二面でできている。しかし、それら全てが世界にとってなくてはならないのだろうと思うと、不思議な気がする。

 ではコロナウィルスはどうなのだ?

 もし全ての物事に二面性があるなら、コロナウィルスに相対するものはなんであろうか。今全人類が大変な闘いを余儀なくされている。それを考えると、コロナが世界になくてはならないとはとても思えない。

 この重大な局面で、痒いくらい我慢するのはまだまだ幸せなことだと納得するしかない。

 本当に、まあ、そんなところだ。

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