自分とじぶん
40になるかならないかの頃、通勤の帰りの電車でよく見かける3人の仲良し女子がいた。
年齢は3人とも二十代後半くらい、いつも仲良く、まあ他愛のないお喋りをしている。気持ちの良さそうな、ひと口に言えば性格の良さそうな人たちで、私は彼女たちを見かけると、不思議にいつもこんな事を思った。
みんな自分を生きているんだな。
自分は自分でしかないもんな。
自分と仲良くするしかないもんな。
でも、それがなかなか難しいんだよな。
自分を認めてやる。自分を全面的に受け入れ、自分を引き受けて生きていく。
それがなかなかできないんだよな。
俺なんか、精神安定剤で自分の弱さをごまかしていかないと、とても社会に生きていけない。
そういう意味ではみんな偉いよな。
薬がなくても生きていけるんだもんな・・・・
何となく、彼女たちを見ていると、人間がいとおしいとでもいうのか、優しい気持ちになれたものだった。
ただそれだけの話である。
ただ、未だにふと、彼女たちを思い出し、自分が少しも進歩してないなあ、などと思うのである。
しかし今は考え方が少し違う。人間は土台自分を持て余していて普通なのではないか、と思うようになったのだ。精神安定剤を飲んでいる私は極端な例としても、皆多かれ少なかれ、自分という存在と、自分という意識とのバランスをとるのに結構四苦八苦しているのではないか、と思うのだ。
真実は分からない。
でもそんなところだろうと、自分を慰めるきょうこの頃なのです。
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