HAND1-04
♥陽明学園初等部・ポーカールーム
「オールイン」
「んじゃオールインっス」
それに
両者、
「はいはい負け負けっス」
「
確かに、せっかく集まったのだから対戦のひとつでもどうだと提案したのは
「お前らもなぁ……。確かにこの局面の最適解はオールインだけど、練習なんだから少しは読み合いに
「
「私は最適解がある時、常に最適解を選びます。練習も本番も関係ありません」
ポーカーにはマインドゲームとしての側面と、確率ゲームとしての側面、その二つが複雑に混ざり合っているのだが、
もちろんトーナメントの最終局面など、何か大きなものが
ならば一定以上の勝率があるハンドであれば先手はチップ
「少しルールを……」
変えてやり直し──と最後まで口に出す前に、
「ヘッズアップはもう
くるりと
それは理解している。理解しているのだが、こんな立派な、
ひいては
やはり、現在このポーカークラブが
大問題。それは現在
三人。せめて三人いれば部内対戦でもポーカーの戦略性は格段に増すし、規定人数にも達して大会の団体戦にだって出られるようになるのだが。
「センセー、やっぱ二人だとつまらないっス。
「なるほど名案だ。ここが女子校じゃなければな」
共学であったとして、それでデレデレ付いてくる男にポーカーの才能があるとも思えないが。しかも
ただ、改めて
問題は、才覚
見知らぬお
という事情もあり、つい『むこうからポーカークラブの門を
──こん、こん。
そんな弱音を
まさか、届いた……!?
「あのっ、失礼します!」
そんな期待は、現れた少女の顔を見た
「あれ、どしたっスか。
「ご、ごきげんよう。
もじもじしながら
はて。
ああ、
「それで、どうしたんだ?」
「お願いします! 私のことも、ポーカークラブに入れて下さいっ!」
宣言を聞いて真っ先に、
「えーと。なんでまた急にっスか」
「え、えへへ……。実はお昼に
そこで
「ジョーカーの
お前はプレーヤーの側ではない。他のカードに混ざるべき存在ではない。そう暗に念を
どうせ使わないから
だからこの時、
ついに
「ポーカーって、ジョーカーは使わないんですよ」
結論として、
「えっ。そうなんですか、……でも、実物がいらっしゃるなら。むしろそちらの方が……え、えへへ」
「……
「
一連の行動に、ブラフの要素は読み取れなかった。
だとすると、良心の
「でも、なんだか。運命的なものを感じたんです! 今日、
もう一度深々とお
ここは、
「すまないが、入部は認められない」
「だ、ダメなんですか!? どうして……?」
深く息を
「それは、君が五年生だからだ。
「…………」
「…………」
「…………」
ポーカールーム全体が
「半ば確信していましたが。
そこでようやく、
「
「
「やむなしか。さらば
「話を最後まで聞け!」
これだから五年生は!
「要するに! 新しく何かを始めるなら若ければ若いほど
いかん、一気にまくし立てすぎた。ここまで
「……こほん。と、いうわけで。五年生の入部希望は受け付けてないんだよ」
「ごめんっス。こう見えてこのセンセー、あたしらのこと全国トップレベルのチームに育てる気なんスよ」
多少言い方に
「そ、そうなんですか……」
「でも私、
今日何度目だろう。
実際問題、才覚ありと思ったらやぶさかではないのだ。別に五年生を絶対に入部させないと決めているわけじゃない。ただ
あの
「テストして差し上げればいいのでは? 熱意は伝わりますし」
もはや、はっきり『才能がない』と告げるべきか困っていると、
でもこの申し出は
「……わかった。部長として
「あ、ありがとうございます先生! それに、ええと……
「呼び捨てでいいですよ」
にっこり
「それと、お礼を言うのはまだ早いかと。苦手なんです、私。手加減というものが」
これで
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