HAND1-03
◆同教室・昼休み
小学校の
給食が出てくるところは他の公立校と同じだ。
しかしこの給食がまた、かなりの異世界要素を
正直言って、うまい。
「あれあれ~、ティラミス一個余るッスね。
いつも注意するべきか迷うのだが、校則によると寒い時は制服の上に一枚何か羽織っても
だからパーカーを着ていること自体は問題ないのだが、フードはどうなのだろう。
いつものようにしばし迷った末、結局
多いのだ。ポーカープレーヤーにはフードを
「これはいっちょ、やるっきゃないッスね。余りデザート
ティラミスが一つだけ残ったワゴンの前で、高らかに指を
それに対し、周りからの反応は
なのに
「おんやー、
ニヤニヤしながら、
「じゃんけんならやるけど、
「絶対勝てないもん。なんかズルしてるでしょ」
あちこちから上がる不満の声。そう、過去にも何度か余ったデザートを
ちなみに勝負の方法はポーカーではない。したたかな
「完全運ゲーなんて興味ないっスね。デザート
「当番権限って、
「
「ふふん。もう当番になっちゃった後なのでクレームは受け付けないっスよん。ババ
「……じゃあ、やらない」
「私もいい。
クレームを付けていた二人がティラミスを
まあ、気持ちはわかる。
「不戦勝っスか。平和っスね~」
口笛混じりに、
「あ、あのっ!」
あとは静かに
視線が教室の真ん中辺りに集中する。立ち上がって
元気な子だが、クラス内ではあまり目立つタイプではない。成績は中の中。
いや、むしろ
「お、どしたっスか。
少し迷って、『さん』付けする
「
「あたしも
「う、うん。実は……大好物で! 私、参加します!
「ふふん。そうこなくっちゃ。
指をパチンと鳴らして
おそらくは、
だが、それは徒労に終わる。
「
「う、うん。わかった」
ぎゅっと
「そんじゃ、さっそく」
「待って!」
そこでギャラリーから制止が入った。
「ん? なんスか?」
「そのトランプ、
「私たちによく見せて」
よほど
……昔のこともあるし。
「そんな必要ないっスよ。もっと確実な方法があるんで」
「センセー、カードチェンジプリーズっス」
少し安心した矢先、
「
「まーまー。
そこを
「
物言いを付けてた子たちも、そこまで
「あたしが
「えーと、うん。それで
「さ、好きなように
「わ、わかった」
机に額を
「……このジョーカー、カワイイ」
ぼそりと
なぜなら、ポーカーでは使わない、除外されるカードだからだ。ジョーカーは。
「そんなんどうでも
「ご、ごめんなさい! えっと、じゃあ……うん! 決まったよ!」
よほど訓練しているか、生まれつき
そして、
だからババ
「あ~」
うっかりため息を
「……時短、いいっスか?」
「えっ」
「ほい、ほいっと」
「あ!」
「えええええええ~!?」
心底
おそらくは、こんなにも顔に出やすい性格なのに、ババ
「
「う、うう。もう一回! 今のは……れ、練習ということでもう一回お願い!」
お。
これは
たとえそれが、どんなに
「えー。ムダな時間としか思えないんスけど?」
「そこをなんとか! どうしてもこのままじゃ
その発言を聞いて、フードの
「じゃあ、ちゃんと対価を出すっス」
「……対価?」
「勝負したいなら、もう一個ティラミスを
「ひ、ひとりで三個も食べるつもりなの……?」
「別にあたしは二個でも満足っスけど、勝負するなら利益がないとやる気にならないっス。ていうか、負ける気で勝負に
「…………………………」
ごもっともな
しかし、やがて。
「わかった。
顔を青白くしながら
正直、そこまでビビるならやめておいた方がいいと思うのだが。
「
「……う、うん!」
感情が
こうなったらもはや、
「時短ヨロシク~っス」
「ああああああああ!?」
またしても二連続で、ジョーカー以外を
かわいそうに。深入りしなければ自分の大好物を失うことはなかったろう。
ついでに
となれば、ポーカークラブへの
なんて。もともとこのクラスから
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