目の中の灰

とんがりあたまご

第1話 ハロウィンと炎

俺にはどうやら特殊な能力があるらしい、そう気づいたのは幼稚園の頃だった。

丁度1人目の妹が生まれるころ、母が少し病を患ったことがあった。

俺はまだ4歳ほどだったが、母に言われて病気の彼女の手伝いをした。


ある時、洗濯物を運べ、と言われたとき、当時の自分には重たかったので4歳の俺は自分の手のひらを見ながらふと考え、「この手がもっと便利なかごに変わらないかなぁ」と思い浮かべた。

気づけば、いつの間にか母がいた。彼女は目を見開き固まっていたので、またゴキブリでも出たのか、と思い振り返ろうとしたときに壁に手がぶつかった。


左手はかごになっていた。


どうやら自分の体は有機物無機物、なんでも変化できるスライムによって形作られてるんだ、と気づいたのである。


それからは自分で空を飛ぶステルスハウスを作り、時間を止め、そこで過ごしたのでとても楽しかった。この幸福がずっと続けばいいのに、と思っていた。


が、「かご事件」の2か月後、妹が生まれてからぐらいには俺は力を使いすぎていた。父と母は子供を恐れてしまった。


それ以来、使うのを控えるということを学んだ。



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10/31


今日は三日月であった。三日月はまるで昔絵本で読んだ歯のような白い輝きをしていた。思えば三日月なのに珍しい。あれは俺の中で黄色いイメージがある。

そんなことを思いながら、おれは親友の君森と帰った。


今日はハロウィンだったが、あいつは何もわかっちゃいねぇ。

あいつは愛おしい。今でこそ名字で呼んでいるが、幼少期から知り合いなのだ、小さい頃の記憶も、あの特殊能力は時間をも記憶するので、当然いくつかある。

代表的なのは彼の家族構成だ。


彼はお姉さんが3人おり、年が彼の妹を含めて全員2歳ずつ違う。彼は姉の着せ替え人形になっていたが、彼はそのまま幼稚園へ行こうとしていたこともあった。最も、彼の母親が怒って、結局は普通に男児の服を着、幼稚園へ行っていたが。


あいつはハロウィンぐらい姉に遊ばれろ。何もわかっちゃいねぇ。姉も君が愛おしいんだぞ。俺が君のトイレ中にこの部分を書かないといけないぐらいにな!!!

漫画を俺の部屋に読みに来るのは5年ほど変わってねぇじゃねぇか!!!!!


今日はもう、寝るとしよう。

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ハロウィンだからと言って、欧米のように火もつけないのは様々な面から見て判断しているからだろう。火は危ない。何かのアニメで人間とヒグマ以外は火を怖がっていたな。


ふと空を見上げると星が見えた。あれも燃えているものが見えているんだなぁ。科学者はどうやってあれが燃えてるってわかんだ。


俺には火は怖すぎて扱えん。


まどろみの中で、俺は火を見たような気がしたがそれは朝焼けなのだろうな。

あれ?日付はまだ変わってねぇのになぁ......。



次の朝、近所の山火事がニュースになっていた。

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