第331話 果物皿にちょこんv

 昨日の晩御飯の時、スコちゃんが自分の居場所を求めてテーブルの上に上がってきました。

 猫だから、人間の気持ちがわからない。

 だけど、人間も猫の気持ちがわからない。


 困りものです。

 わたくしテレパシーで「テーブルっていうのは、ご飯を食べる台だから」ってささやいた。

 けど、「今、食べてないでしょ」ってスコちゃんはすましてる。


 たしかに、そのときはみんな食事を終えていた。

 そのときを見計らってのぼってきたらしい。

 そして、次の日わたくしが食べる予定のりんごののった大皿にお尻をつけて座った。


 おかしくて。

 いつもはうるさく言う祖母も、あまりのことに絶句しているし、母も何も言わない。

 言えなかったんだろうと思う。


 スコちゃんは以前、果物入れの陶器をテーブルからちょちょいと落として割ってしまった過去がある。

 それなのでわたくしがオフハウスで買ってきたその大皿は、およそ猫が落っことしたくはならない形状の、平たいものだった。

 こんどはお座りしてくれるとは……もうだめ。


 おかしくて。

『おいしく食べてね』

 と言わんばかりなのだ。


 本猫がなんにもわかっていないらしいのが、なおおかしい。

 ピュアな瞳で、ちょこなんと絵画に起こすのもためらわれる構図でたたずんでいるのだ。

 食べちゃうぞ、こらっwww






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