第301話 久々に彼女を描いた!
スコちゃんがここのところ、面白い動きばっかりしているのです。
ああ、かまわれたいんだな、と思うけれどもわたくしはそんなあなたを絵に起こすのに忙しい。
スマホで撮った画像を見ながらフリーハンドで液タブを操作し、色を付けていきました。
見たまんまに描いているのに、なんか違う……えーきちさんにアドバイスを求めました。
画像は逆光だったので顔面と前脚が暗く沈み、背中が光を受けている、そんな絵でした。
えーきちさんは「理論」を用いて描くようにと勧められました。
すなわち、光がどうのこうのではなく、空気遠近法でもって、顔を明るくし、顔の下は暗く、背中は暗く塗るべきだと。
朝描き始めて、夕方までずっと描いていて、これでどうだ!? と思うたびに画像を送って意見を求めました。
一日独占してしまってすみませんでした。
えーきちさんはしかし、芸術に造詣が深く、県で入賞なすったとか伺いましたよ。
すごいですね。
わたくしは市に行ったのが初めてだったかな。
で、デジタル画なので顔を明るく、体を暗くと言われたら、顔を(手前にくるから)赤く塗って(紫がかったピンクに見えます)、体を明度低くブラシ塗りしました。
もともとブラシ塗りが主なんですけれど、どうも大きなポイントで影を塗ると画面全体がベタッとしてよくないよということでした。
えーきちさんの要求水準がやけに高いなあと、思いつつうれしくもあり、頑張って背景のグラデーションも楕円に入れました(初めてでした)。
楽しかったのだけれど、最近スコちゃんをかまいたおしてなかったせいか、スコちゃんの脱走が深刻になってまいりました。
母が気づかぬうちに玄関から足元をすりぬけて脱走しているのではないか、それ以外には考えられないけれど、とても信じられない早業だ、という話になりました。
もう、駐車場で散々はいつくばって車の下から出したり、スコちゃんスコちゃんと呼ばわっては向かいの道路を見つめます。
帰ってくるからいいけれども。
こう何度もやられると心のあちこちが削られていくような気がして……。
スコちゃんとのコミュニケーションを考え直さねばなりません。
今日は、こたつにあたっているか、レンタルDVDを観ていたときにスコちゃんがちょい、こっち見て? と前脚をズボンにひっかけてくれるので見つめ返すと階下へと歩いていきます。
で、廊下に出てみると律儀に待っています。
私を見ると、万歳するみたいに前脚をあげて壁にのびっと体を持たせかけて、ぴょこっと跳ねます。
跳ねたらどうするかというと、階段の降り口へと誘うようにたたずみます。
そこでほいほいと追いかけるといけません。
スコちゃんは命懸けで逃げますから、ここはちょっと駆け引きが必要です。
スコちゃんが階段を降りて行ってしまうので、私は物陰に隠れてひそやかに息をします。
すると、ちょっとしてじれたスコちゃんが駆け上ってきます。
上ってきて初めて私のことを発見し、また階段を駆け下りていきます。
繰り返しです。
正直、おかしい。
ついには、降り口の一段下に伏せて、ちらちらとこちらを見るようになります。
そうなったら、背中をなでてやり、つかまえて抱っこですよ。
好きなだけスキンシップです。
しかし、部屋に連れて行くと、また階段の方へいってしまいます。
そんな、猫のことばっかり考えていられませんから、部屋に閉じ込めたり、追いかけっこをしたりして時間を稼いではDVDを観ていました。
猫は1歳児並みの知能らしいので、一生こんな感じなのだなと覚悟が必要です。
そして、かくれんぼが楽しいなと思い始めたこの頃です。
ぴょんこ! たたーっ。
じっ(とこちらを見ている)、じじーっ(と見ている)。
たたたっ(とこちらに駆け寄ってくる)。
私を見ると逃げるんですが、追いかけないと寄ってきます。
壁に前脚を預けてのびあがってこちらを見つめてきます。
かわいいかわいい!
あ、もうごはんか。
ごはんです(彼女が餌場で待っている)。
あげなくては(では!)
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