第289話 脱走3度目だよ;;

 働きに出ている母が帰ってくるまでは、スコちゃんは夕食を食べてふらりとキッチンを出て行こうとしていた。

 わたくしは夕食の席に呼ばれるまで、DMしていて、スコちゃんが見えないので、食卓は平和に片付いた。

 しかし、お友達とのDMしている最中に嫌な予感がした。


 家中探しても、スコちゃんの気配がしない!

 探し尽くして、結論。

 スコちゃんは家にいない。


 ということはまた脱走したのだろうけれど、いったいどこから出たのかわからない。

 心が折れそうなので母に頼んでざっと探してみてもらった。

 まあ、わたくしが探したところを順番にだ。


 めげていたら、玄関先から母の声。



「玄関の外、駐車場の奥の階段下にいる」



 というので、サンダルをつっかけて、玄関を飛び出した。

 スコちゃんの名前を呼ぶと、相変わらず白猫が「ニャオン」と鳴くから、このあたりにいるはずだ。

 細くて暗い階段に踏み出し、スコちゃんを呼ぶ。


 母が後から来てくれて、でも、あまりに暗いので部屋の窓を開けて明かりをつけてくれるように頼んだ。



「ここら辺にいたのよ」



 母がなぜそれを突き止められたのかは不明だが、目が暗がりに慣れてくると、ちょうど踏み出した階段のすぐ一段下のところに、か細くなくスコちゃんのシルエットが垣間見えた! いた! さっそく抱き上げて駐車場を出る。


 開け放しになっていた門と玄関を潜り抜け、わたくしはスコちゃんに頬ずりをした。

 ああ、けがをしてないと良い、と思いながら、床に置く。

 この頃の傾向として、母が仕事から帰ってくるとスコちゃんが姿を消す。


 母が玄関を開け放った途端、物陰から飛び出した可能性もある。

 油断できない。

 それに後脚の指が変な方に曲がってるんだ。


 どういうことなのだろうか?

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