第288話 えー……脱走2回目。
ちょっと占いをしていて、スコちゃんのことを尻目にしていた……。
食事もすんで、ん? なにかおかしいなあと。
思っていたらスコちゃんがいない! こんなときはいっつも家のどこかに閉じ込められていたり、ベランダに締め出されていたから焦って探した。
二階にもいない、一階にもいない。
どこからか出たのか? 原因不明、行方不明!
念のために窓から呼ばわったら、かすかな吐息が伝わった。
「ぬぅ」
と言うのだ! あの気配はスコちゃんだ! スコちゃんが外にいるぞ!
慌てて玄関を開け放ち、母に(万一、スコちゃんが家の中にいて、飛び出してくるのを防ぐため)出入り口を見張っていてもらって、門から駐車場に走った。
いない! いない! 真っ暗だ。
隣の白猫が、スコちゃんの名を呼ぶたびに「にゃおん」と鳴く。
「あなたじゃないの」
とは言えど、白猫さんがなにかを伝えようとしているようにも思える。
スコちゃん、と叫ぶたびに「にゃおん」と答える白猫。
スコちゃんはこのあたりに、いる――?
思った瞬間、左足にすりっと柔らかな感触がこすっていった。
「スコちゃん!」
私は玄関からかすかに見える灯りの下、このへんだろう、と思われる場所を探りあてて、ずっしりとしたうちのスコちゃんをとらえた。
白猫は、その間一声も発さなかった。
思わず、私。
「ありがとう、スコちゃんいた!」
と白猫に呼び掛けていた。
それからどたどたと玄関に駆け込み、中へ入れるとスコちゃんは悠然と廊下を奥に入っていった。
これっきりにしてぇ~~;; って心底思った。
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