第268話 (# ゚Д゚)をばーちゃん! 私の猫を殺さないで!
2020/08/30/日。
今日、朝ごはんを食べたあたりから、スコちゃんの姿が見えなかった。
なんか変だな。
と思った。
だけれど、家の中にいるはずだもん、平気だよね。
けれども、十二時近くになっても、ごはんをねだりにこない。
変。
一階にいれば、私の姿に反応してどこかから出てくるはず。
風呂場もトイレも、部屋中探した。
でもいない。
これは! 危機だ! スコちゃんの身になにかあったんだ。
二階に駆け上がり、そこで涼んでいる祖母にまず尋ねた。
「ネコちゃん知らない?」
祖母は「知らん」という。
迷わずベランダの窓を開けた、ら、カンカン照りのベランダの隅っこの方で縮まっていたスコちゃんが自分から中へ駈け込んで来た。
息が荒い。
四肢が濡れて、小便臭い。
炎天下でなんとか涼をとろうと、汚水に足を浸したんだろう。
水で洗ってやった。
「はっはっはっはっは……」
ピンクの舌が覗いてる。
苦しいんだ。
暑かったんだ。
お風呂場で水をジャージャー出しても、茫然として動かない。
お湯は出ないけれども、今必要なのは水! 何度も何度も手の甲の上からちゃぱーちゃぱーっとかけてやった。
脚も一本ずつたらいに入れて洗ってやった。
かわいそうなスコちゃん! 嘘よね? 死なないで!
部屋のクーラーを最低に温度を下げ、カリカリと甘酒を与え、さらに水を新しく汲んできた。
「はっ、はっ、はっ……」
とまだ苦しそうだったけれど、濡れたままの体を毛づくろいするところまでは回復した。
今、それも治まって、書いているけれども……どうも、吐き気がする。
いや、私の方が。
だって、ベランダの窓は締め切ってあったのだ。
祖母はネコなど知らないと言った。
前にもこういうことがあったので、忘れられないのだが。
私がソファで眠っていた時、祖母はベランダの窓を開け、スコちゃんが出てしまったのを見ていながら、窓をピシッと閉めてしまったことがある。
おばあちゃん、どうして? と聞いたら。
「さあ? 気づかんかった」
という返事だった。
窓から離れていた私が気づくのに、どうして目の前で猫を見ていた祖母が見ていないと言い張るのか。
これは殺猫未遂! そう、動物愛護に反する行為とみていい。
近寄らないほうが身のためだ、スコちゃん、ちょっとおばあちゃんには気を付けよう。
昔の人って、猫とか犬とか、平気で捨てる感覚だし。
なんなら非常食にして食べたり、肉を売ったりしたそうだし。
駄目だ、あの祖母は。
怒る気にもならない。
吐き気がするだけだ。
神にささげる祈りから、祖母の健康と元気と幸せと長生きを、今度から省こう。
スコちゃんのためにならない。
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