第212話 2020/05/23/土 うん、もおう!^^

 かわいいかわいいスコちゃんが、掃除するとき、必ず床にゴロンして、邪魔をする。

 なにかな? 箒がかけられないのだけれど……。

 そう思って、今日は彼女のおなかをさわさわっとなでてみた。


 スコちゃんゴローンとお腹を見せて、前脚と後脚でちゃいちゃいっとじゃれる。

 なんだ、かまってほしいのか? この頃、ボールを持ち出さないから、実質遊ぶのは今日はこれが初めてだ。

 おなかなでなで、ちゃいちゃいっ、なでなで、ちゃいちゃい……ということを繰り返して、やっと部屋を出ていった。


 母がちょうど、玄関を開けて表に出た時、スコちゃんは、解放しきったおトイレのドアの影から、こそっと顔だけ出していた。

 ああ、まずいな。

 もう一度玄関が開いて、母が帰ってくるとき、スコちゃんが出て行ってしまうかもしれない。


 そんな懸念はあったけれど、私は使命が一番のお掃除当番。

 さかさか床を掃いていると、母の声があがった。

 果たしてスコちゃんは、思った通り、玄関から脱走しようとしかけていた。


 しかし、母も少しは慣れてくれたようで、冷静に「戻りなさい」と言葉をかけたそうな。

 そうしたら、スコちゃんは素直に家の中に戻ってきたという。

 そうよ、この子は賢いのだから、言葉で言えばわかるのよ! 私はうれしかった。


 スコちゃんのことを、わかってもらえたと思い、喜んだのだ。

 しかし、掃除はまだ残っている。

 スコちゃんはまたトイレのドアの影にこそっとしていた。


 掃除が終わり、廊下にいたスコちゃんに「もういいわよ、入って」と声をかけたら、彼女は悠然と部屋に入っていき、奥の自分エリアでゆったりと横たわった。

 さすが、スコちゃん! このごろ、連携がうまくいっている気がする!



 そして、いきなりだが、今日のハイライト~


 今日は、リビングでPCを打っていたら、階下からアルトな鳴き声がした。

 んっ? スコちゃんか? 思って降りて行ったら、スコちゃんが窓辺で、見たことのない野良猫に挨拶をされていた。

(妄想語り、入ります)



「スコちゃん、挨拶されてうれしい?」


『うん』


「そっか、じゃあ、駐車場に行って、処分するつもりだった、子猫用フードをあげてくるね」



 そうしたら、スコちゃんに友達ができるかもしれない。

 寂しがらせなくってすむかもしれない。

 だから。


 その後、スコちゃんは午後のほとんどをその部屋で過ごし、家の中から気配を消していた。

 心配になって見に行ってみたら、母のベッドですやすや眠っていて、私が入っていったら、うっとり目を開けた。

 まあ。


 母が見たら、「まあ、ずうずうしい! あつかましい」というだろう。

 でも、スコちゃんがリラックスしているのだから、そのままにしておいてあげたかった。



 子猫用フードをやめてから、スコちゃんは家族の食事を邪魔しなくなった。



 テーブルに上がったときも「いい子ね、おりこうね。降りてくれたら、もっとおりこうよ」と言うと、降りてくれるようになった。

 やはり、頭ごなしにしかるのはNGだったのだ。

 心を尽くせばわかると信じて、これからも言葉がけをしていこうと思った。





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