第211話 2020/05/20/水 彼女がふり返る

 気がつくと、飼い猫にストーキングされてるらしい、水木です。

 らしい、というのは、自分を客観的に見るのが苦手なために、こういう言い回しになる、私の癖、でございます。

 とにかく、母が言うには、スコちゃんは私の行く方へ、くっついてきてるらしいんですね。


 そうかなあ。

 餌をあげるときは、そりゃあまあ。

 くっついてきますけれども。


 普段はマットレスの上とか、ソファの上とか、隅っことかテーブルの下でわちゃわちゃ遊んでますからね。

 まあ、それとわかることはあるにはあるんです。

 私を遊びに誘うとき、ぴょんと飛び跳ね、たたーっと駆けてゆきます。


 そして、階段を下りて行って、まだ上の階に立ち止まっている私を必ず見上げます。

 必ずです。

 ですから、これは、と思います。


 スコちゃんは私のことを、気がつかないうちに、いっぱい見て、看て、観ているのかもしれない。

 ちょっと怖い話になっちゃいました。

 でも、愛する者にならば別に気になりませんよね?






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