第137話 かわゆ! スコちゃん、かわゆ!

 父が家にくると、私の立場は一気に弱くなる。

 普通に話しているのに、父はすぐ「黙りなさい」「いいから(黙れ)」と、私に口をきけなくさせる。

 スコちゃんもその様子を見ている……スコちゃんは、この家で一番立場が弱くなってしまったように、隅っこへ行ってしまう。


 ごめん。

 私が自立してないばっかりに。

 教育費を全額、母に返してないばっかりに。


 だけど、ハローワークで受け付けの人に気持ちの悪い顔をされたから、社会復帰は無理。

 赤黒い顔をして、にたり、と笑ったんだよ。

 あんなの耐えられない。


 そんな私のスコちゃんは、今日は部屋にひっこんで、トンネルボックスの中にうずくまってる。

 肩身が狭いのかなとも思ったけれど、私が洗面所へ水を汲みに行くと、ひょっこりついてきて、眠そうな顔でこちらを見ている。

 私が弱くても、私を慕ってくれるんだね。


 よし、今日は部屋で寝よう。

 スコちゃんと、ぬくぬくして寝よう。

 スコちゃん、私の、お友達……。





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