第131話 2020/02/06/木 すきだから。
ここだけの話。
私は猫が好きだ。
猫と仲良くコミュニケーションするのが大好きだ。
しかし、スコちゃんとはちょっぴり距離を感じる。
昨日、我慢できなくなって、ベッドの上で丸まっているスコちゃんを、布団に引きこんで、そっと抱きしめた。
三度引きこんだが、スコちゃんは三度抜け出した。
四度目は勇気がわかず、我慢していた。
さすがに嫌われたろうか。
そんないじけた気持ちにもなった。
しかし、スコちゃん、今日はご機嫌だったなあ。
風呂中の母の部屋に入りこんで、エアコンの当たるベッドでぬくぬくしていた。
母がもう寝るわよというが、じっとじっと動かない。
私はスコちゃんをどうしたらよいかと悩みつつ、彼女のあごを少し撫でた。
すると! スコちゃんは、撫でていた手先をきゅむっと抱きしめ、あごをのせてきた。
はーん! なんという幸せ。
(妄想語り入ります)
『さみしいからしているんじゃないわよ』
「え? じゃあどういう意味?」
わたしは、スコちゃんになでなでできなくて、さびしかったよ。
スコちゃんに触れなくってかなしかったよ。
みんなスコちゃんが「だめー」っていうから!
我慢してたんだ。
けど、スコちゃんは私の手指を抱きしめて寝ている。
きゅーん。
「それって、すきってこと?」
『そうよ。すきだからよ』
私は、スコちゃんに乗っかってもらいたいし、一緒にねんねこしたい。
全体重をかけて、胸の上に乗って朝起こしてもらいたい。
というと。
「すきだから、しないの。すきだからNOなの。きっと以前の猫は、支配性が強い猫だったの。それを受け入れてしまうあなたに、そんなことできない」
みぃー。
雌ネコは違うんだ……。
男の子は、私の足腰をもんでくれたりもしたんだよ?
『それは、あなたに恋人になってほしかったのよ』
「わたしに?」
彼は恋人以上だった。
骨までたべちゃったもの。
私はシャオリンのいじらしい、愛情表現に胸がいっぱいになってしまった。
『シャオリンと私はずっと一緒だよ』
というと、スコちゃんは背中と前脚と耳をぶるるっと震わせた。
『どちらかが死ぬまで一緒だ』
とテレパシーを送ったら、こんどもけいれんのように震えた。
『確証のない言葉でも、今はうれしいわ』
確証? あるわよ。
あなたの血統書は私が持っているし、病院の先生がカルテを持っている。
死ぬまで面倒見る気まんまんよ。
『それが確証になるの?』
あれ? ならないのかな?
わからなくなった、私は、スコちゃんの背中に顎を乗せて、極楽気分をあじわった。
そのあと、母の部屋を追い出されたのだけど、私んとこだって暖かいよ。
一緒に寝ようね。
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