第16話 頭をつっこみたい

 初めてスコちゃんをお部屋にお迎えした時、まずやったのが、部屋の隅にあるゴミ箱に頭からダイブしました。

 えっ――(しばし沈黙)。

 そして、空っぽのゴミ箱の中からきょーんっとして、こちらを見ました。



 これが、初めましての思い出です。



 スコちゃん、頭から何かにつっこんでいく癖が治らないみたいなんだ、これが。

 初めてリビングに侵入したとき、諦めて放っておいたら、ソファの隙間に頭をつっこんで、やけにハッスルしていたし、今日は母の部屋でお布団の枕と枕の隙間に頭をつっこみ……のぞきこんだら、まるでお母さんの懐の中にいるかのように、まあるくなって、すっかりリラックスしていたという……。

 そして、今晩、キッチンに入りこんだスコちゃんは……なんと、流しの中に頭をつっこみまくりました!


 祖母が、いやがってわざわざ近くまで行って「こっ、こっ!」と叱ります。

 けど、赤ちゃんだから下手に叱るとトラウマになっちゃうから、なるだけ穏やかに対処してほしいの。

 私、スコちゃんの胸に手を差し入れ、おしりを支えてパーフェクトな抱っこを披露する。



 だけど、スコちゃんの足としっぽが水にぬれてて、つめたーい!



 え? 猫ってお水嫌いなんじゃないの?

 もしかして、スコちゃん、パニくってるのかな?

 それとも好奇心?


 私、いくらなんでも、生ごみ漁った口でキスされるのはやーよ?

 まあ、三角コーナーに生ごみなんて入ってないんだけれどさ。

 スコちゃんの口、ちょっとペットフードのにおいがするんだけど、猫も口臭がするんだね。


 口臭のするお口でぺろぺろされたら、どんな顔をしたらいいのか、わかりません!

 スコちゃん、自重してくださいっ。

 おねがい!






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