第15話 2019/11/10/日

 おや、と思った。

 スコちゃんがいないなあ、と思って探していたら、気配を消して入り口付近に腹をつけていた。

 忍者か。


 最近、容易に頭を触らせてくれない。



「いいかい?」



 と指を差しだすと、パッと両前脚で指を捕らえて、それから「えーと」と考えるような瞬間があり、そのまま私の指をなめだしたりする。

 一瞬、獲物だと思ったんだろうか。

 それとも、毎日のグルーミングが気にくわなくて、反射的に抵抗を示してしまったのだろうか。


 反省する。

 確かに私のブラッシングは手馴れてない。

 頭を抑えつけるようにかざしたりして、怖かっただろう。


 でも、だから声掛けを同時にするようにしている。



「大丈夫だよ~~、怖くない。痛くしないからね~~。すぐすむから!」



 注射みたいだ。

 しかし、それで実際、スコちゃんはおとなしく身を任せてくれるようになった。

 やはり、グルーミングはコミュニケーションなのだな、と思う。


 今日はなでなでしながら、ブラシをいれてやったら、十回くらい我慢してくれた。

 けれど、相変わらずブラッシングの後に、毛づくろいをし直す彼女なのだった。

 自分でする方が安心なのかもしれない。


 肩甲骨の下あたりから、前脚をなめてしまうと、彼女はそっと目を閉じる。

 もう、そのまま眠ってしまうみたいだ。

 そっとしておこうと思ったのに……。


 かわいらしいその寝顔に興奮した、私の鼻息で、うっすら目を開けてしまったスコちゃんなのだった。






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