第3話 真っ暗な中でなにをしているのか。

 お外が薄暗くなってからの話。

 スコちゃんが、かまってほしがってないかなと部屋に行った。(もうすでにスコちゃんの部屋だ)

 そうしたら、スコちゃんがかわいくて! もう一度言いますけど、かわいくて!


 爪とぎマットを組み立てて、トンネルにしているんだけれど、その上に乗ろうとしたのか、爪をひっかけちゃってね? トンネルが重さに耐えきれず、倒れかかってきたんで、スコちゃん、仰向けにころんって。

 トンネルの重さはさほどでもない。

 でもスコちゃん、どうしようかなって顔をして、しかたがなさそうに仰向けのままあくびをした。



 スコちゃんんん~~。



 子猫のすることよ。

 とってもあどけない。

 でもひょうきんで、笑ってしまう。


 で、ベッドに座って、隣にきたスコちゃんをなでなでしてたら、彼女、よほど気に入ったのか、膝の上に乗ってきてね。

 のどをゴロゴロ言わせて、肉球をちゅうちゅうし始めた。

 ママのおっぱいを思い出しているのね。


 私はそうっとそうっと、その背中としっぽの先までを撫で続けた。

 かわいいかわいい、と思いながら。

 部屋が真っ暗になるまで続けていたので、正直どれくらいそうしていたのかわからなかったけれど、彼女をベッドに寝かせて、部屋の照明つけて、時計を見たら5時半だった。


 ごはんの時間!

 ハッとしてフード皿を見ると、みごとにぴかぴか。

 それなので、今度も水分のないフードを50㏄。


 食べてくれるか、懸念はあるけれども、また真夜中になったらササミをチンして裂くのだわ、と苦笑いする。

 どのみち、ササミは十食以上のストックがあるので、まだ心配はいらない。

 Olimpicで十四本で700円くらい。


 1食50円。

 混じりっけない、肉そのもの。

 しかも高たんぱく低カロリー。


 真っ暗な中、彼女の白い手と鼻先だけを見つめて、ゴロゴロという音色だけをたよりに、彼女の背中を撫で続けた。

 この経験は、誰にでもできることじゃない。

 スコちゃんがいるからこそだ。



 幸せなんだ。

 ありがとう、スコちゃん。

 ありがとう、神様。






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