第19話【生徒会長2】
落ち着け、落ち着け俺!
俺は何も見ていない。
生徒会長が漫画読んで大爆笑していた姿なんて見ていない。
よし!
コンコン!
俺は、動揺した心を落ち着かせたあと次はしっかりとノックして中からの返事を待つ。
「はい」
中からの返事の声は先程の大爆笑していた柔らかい声ではなく、入学式の時に壇上で話していた時のように硬い感じの声だった。
「失礼します」
俺は、ゆっくりと扉を開けて中にはいる。
中に入ると先程とは打って変わってラスボス感を漂わせた生徒会長がキリッと俺を睨んでいきた。
「すみません。
先生にこのダンボールを生徒会室に持ってって欲しいと頼まれたのですが、どこに置けばいいですか?」
そう言って軽くダンボールを持ち上げる。
「ああ、そうだったのか。
ありがとう。
そこの机の上に置いておいてくれ」
生徒会長は、俺から一切目を離さずに言う。
「わかりました。
では、失礼しました」
言われた通りの所にダンボールを置きそのまま生徒会室を出ようとする。
「ちょっと待て」
「!
は、はい。
なんでしょうか?」
俺は、ドアノブに伸ばしていた手を止め恐る恐る振り返る。
「せっかくだからお茶で物で行きなさい」
「い、いえ、俺は新入生でして初日からバックれるのはさすがにやばいので戻らせてもらいます」
「そー言うなよ。
先生には私から言っておいてやる。
荷物を運んで来てくれたうえに私の相談に乗ってくれたとてもいい生徒だったとね」
そう言いながら生徒会長は椅子から立ち上がりゆっくりと俺の方まで来て俺と扉の間に体を滑り込ませる。
カチャ
今、鍵かける音聞こえたよね!?
「あ、あの会長?」
「何かな少年?」
「今、もしかして鍵かけませんでした?」
「そんな些細なこと気にするな。
ささ、あそこに座りたまえ」
生徒会長はそう言って俺の背中を軽く押しソファー所まで連れていき座らせる。
「お茶を入れるからそこで待っていてくれ」
「はい」
俺はそう返事するしか出来なかった。
「はい、どうぞ、飲みたまえ」
「はい、ありがとうございます」
生徒会長から受け取ったカップに口をつける。
「美味い」
「そうだろ?
結構高い茶葉使っているし、私自身お茶を入れるのは得意だからな」
「そうなんですか。
でも、会長はお嬢様なのでお茶はメイドさんに入れてもらってると思っていました」
「まあ、その時もあるが自分で入れられた方が好きな時に飲めるからな。
それにそうして客人をもてなす時に出来た方が相手に好印象を与えやすいだろ?」
「そうですね。
少なくとも俺は生徒会長に好印象を持ちましたね」
それから約一分ほどの無言の時間が過ぎた。
「では、本題に入ろうか」
「ほ、本題とは何ですか?」
俺は、わざとらしく聞き返す。
「私が、漫画本を読んで大爆笑をしていたのを君が見てしまったことだ」
「ですよね〜」
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