第18話【生徒会長1】
桜の花びらの舞う四月。
今日は、西園寺高等学校の入学式の日だ。
俺達新入生やその親御さん。そして学校の先生方が西園寺高等学校の大きな体育館の中で校長先生のありがたい(俺には全くありがたさが感じられない)話を聞いている。
周りを見渡すと真面目に聞いている人がいたり、寝ていたりといろんな人がいる。ちなみに俺の横のやつは爆睡をしている。
ちなみに俺はというと先生方を観察して何人がこの校長先生の話をありがたそうに聞いているのかを調べていた。
結果は七割ほどだった。
正直俺は、校長先生の話など「入学おめでとう!これからこの学園の一員として自覚を持って頑張ってください!」ぐらいでいいと心の底から思っている。
名作と言われる本の文章を取ってきて、さも自分が考えたかのように自慢げに話したり校長先生自身の昔話をしたりと誰得情報をつらつらと並べられたところで俺達はヘイトしかたまらない。
あ、次は生徒会長の話か。
校長先生の話が終わったらしく、校長先生と入れ替わりで制服を着た美人が舞台に上がる。
その美人は淡々と言葉を告げるロボットみたいだった。表情を豊かに変えて話してはいるが何となく全てが作られた演技にしか見えない。わかりやすく言うと表面は優等生を演じているが裏では何やってるかわからないみたいな感じだ。俺は絶対にお近付きになりたくないと思ってしまった。
「それでは皆さん。
それぞれの教室に移動してください」
そんなことを考えているといつの間にか入学式が終わったらしい。
俺は皆の後ろについて行き体育館から出ようとする。
「あ、おい、そこの君」
すると、白衣を着た美人の先生に呼び止められた。白衣を着ているから保健の先生か化学の先生かな?
「ん?
あ、はい。
俺ですか?」
「そそ、君君。
ちょっと頼まれてくれ」
「何ですか?」
「ちょっとこれを生徒会室に持って行って欲しいんだ」
そう言ってその美人の先生からダンボールを一つ渡された。
「あの、運ぶのは全然いいんですが、俺入学したてで生徒会室の場所とかわからないんですけど」
「あーそうだったな。
職員室は、わかるだろ?
その横の階段を三階まで上がって、右側の通路を見ろ。
じゃあ、生徒会室って書いてある札がかかってる。ほら、あの何年何組みたいなやつ」
「わかりました。
じゃあ、行ってきます」
「頼んだ」
俺は、言われた通り職員室の横の階段を三階まで上り右側を見た。
「ん?」
右側を見た瞬間、一つの扉だけ凄く豪華なところがあった。
まるでその部屋だけお金持ちの御屋敷かと思うほどにすごい造りになっている。
俺は何も考えずにその部屋の前まで来て札を見る。
「あ、ここが生徒会室か」
いいなぁー。
どうせ中も凄く高いソファーとか置いてあるんだろうなぁー。
俺も座ってみたい!
中に誰もいなかったら勝手に座らせてもらおう。
「失礼しまーす」
そう思い軽く三回ノックしてから中にはいる。
「はははっ!
やっぱり〇魂さいこー!」
目に飛び込んできたのは入って正面にある豪華な机の椅子に座りジャン〇を読みながら大爆笑をしている先程壇上で挨拶をしていた生徒会長だった。
俺は、理解が追いつかずそのままフリーズしていまう。
「はははーぁ。
、、、。
あ」
生徒会長がページをめくる時に不意にこちらを見てフリーズした。
俺は、できるだけ静かに、何事も無かったかのように扉を閉めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます