第15話【ちょっとした会話】
「ただいま」
「おかえりなさい」
家に帰るとリビングで椎名が勉強をしていた。
「すぐに昼飯作るからちょっと待っててな」
「はい」
椎名はそう言って勉強道具を片付け始める。
「ん?
勉強はもういいのか?」
「いえ、零さんも帰って来たので自分の部屋で勉強しようかと」
「気にしなくてもいいぞ?
俺もリビングでくつろぐ予定だからそれが気になるって言うなら別だけど」
「そんなことは無いですが」
「それならそこで勉強してなよ。
近くにいる方がわからないところを聞くと気楽だろうし」
「そうですね。
それではお言葉に甘えさせてもらいます」
椎名は少し考えたあと俺の意見に同意し勉強を再開する。
「どうぞ〜」
そうして俺は昼飯の準備を始める。
◇◆◇◆◇◆
昼飯が終わり、俺は少し残っていた夏休みの宿題を椎名は編入試験の勉強をリビングでしていた。
「あ〜、終わった〜」
俺はシャーペンを置き、大きく伸びをする。
少ししか残っていなかったので一時間かからずに終わらせることが出来た。
「お疲れ様です」
「ありがとう。
珈琲でも入れようと思ってるんだけど椎名もいる?」
「はい、お願いします」
「はいよ〜。
砂糖とミルクはどうする?」
「入れてもらってもいいですか?」
「おけー」
苦いものはあまり得意ではないと。
やっぱり女の子だもんな、苦いものより甘いものだよね。
俺はキッチンに行き珈琲を二人分作ってリビングに戻ってくる。
「勉強の具合はどう?
大丈夫そう?」
俺はそう言ってテーブルの上に珈琲を置く。
「珈琲ありがとうございます。
勉強の方は特に問題ありません」
「ちょっと見せてね」
俺は椎名がしていた練習問題に目を通す。
お、綺麗な字だな。
「椎名の字、綺麗だな。
書道でも習ってたのか?」
「はい、小学校低学年だけですが書道教室に行ってました」
「へぇー、じゃあ、女子が一度は通ると言われている丸字にはなったことないの?」
「はい、ありませんよ。
丸字のどこがいいのか私にはわかりませんでしたから。
それに丸字を使ったことない女の子も結構いるのでその偏見はやめた方がいいかと」
「え〜、そうなんだ。
今後気をつけるよ。
それと勉強の方は大丈夫そうだね」
俺は話している間に練習問題を確認し終えたのでそう言ってノートを返す。
「はい、あとは細かいところを詰めていくだけです」
「頑張ってね」
「ありがとうございます」
俺は椎名とまともな会話が出来たことに喜びつつソファーに座り携帯をいじる。
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