最終話


「あ」


間抜けた声が出た。


体が重力に従って、とてつもないスピードで落下していくのを感じた。


死ぬ間際に見えるらしい走馬灯は見えなかった。


さっきまで居たはずの屋上の柵が、ぐんぐん遠ざかる。




ーーードシャ。


鈍く大きい音が私の後ろから発せられて、鈍い痛みが全身に響く。


しかし意識ははっきりしていた。血も出ていないし体も動く。


私は死んでいなかった。



……違う。もう既に死んでいたんだ。



ああ、そうか。そうだ。




幽霊なのは、私だ。




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学校と暗事 羽衣石れしか @Reshica

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