第13話
何を話しているのこの人は。
「ん?意味解らないって顔してるね。じゃあ解らせてあげる。ちょっと待って」
酒井くんはこうなることが分かっていたかのように持ってきていた、紙袋から何かを色々取り出して、準備していた。
「ちょっと離れて」
それに従って私が十分な距離を取ったのを見ると、白く透明な砂のようなものをばさ、とばら蒔いた。
私の目にはそれがとても嫌なものに映る。
酒井くんの蒔いた白い透明が、屋上のコンクリートの床に落ちていった。
白い透明はコンクリートをするすると透過させていって、何故かそこには木造のボロボロの床が見えた。
「ね?言ってること解った?」
解らない。解らない。どういうことだ。
「君が見てるのは全部ここに居る人達が造り上げた虚像なんだよ。」
酒井くんは今まで聞いたことのない様な声で、一定のトーンを保ったまま、言葉を放った。
……造り上げられた虚像……
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